鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科 先進治療科学専攻 外科学講座 消化器外科学
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ゲカイチ

Vol.53

ー 論文のススメ ー







 ランチから戻ってきた医局の中は、カタカタとキーボードを打つ音だけが響いていた。
 隣で難しそうな雑誌を読んでいる後谷先生に声をかける。





桐野

今日はやけに静かですね。






桐野

あぁ、高野先生と大里先生が研究論文の追い込みをかけているみたいだね。










 いつもは気にならない後谷先生の声が今日はやけに大きく聞こえてなんだか気を使ってしまう。









桐野

研究論文ですか。大変そうですね。







桐野

桐野くんも他人事じゃないよ。
そろそろ自分の論文を発表しなくちゃいけない時期だよ。







桐野

あ…はぁ…。








 僕たちの会話が聞こえたのか、高野先生と大里先生が声をかけてきた。







半田

桐野くん!
そんなのんきでいられるのも、もうすぐ終わりだよ(笑)。







桐野

文章を書くのが苦手で…







半田

はははははは(笑)。
初めから論文を書ける人なんていないよ。







半田

それに、寝る間を惜しんで取り組んだ研究の成果を実績というカタチで、
世界中の人々に知ってもらう・認めてもらうためにも
英文で論文化することがとても大事だね。







桐野

そうですね。
でも、英文論文ってどう書けば良いんですか?







半田

最初からはなかなか英文論文は書けないと思うので、
導入としては和文の論文を書いてみるのが良いんじゃないかな。

半田

それも、ケースレポートのようなものから初めて、
これまであまり報告がされていない
珍しい疾患の症例をまとめたものやオリジナルな論文、
レビューなどを書いていくのがオススメだね。







桐野

なるほど!







桐野

みんな始めは慣れないから難しいけど、
これまでに論文を書かれている先生方からアドバイスをいただきながら、
四苦八苦して書いてるんだよ。







桐野

ゲカイチの先生方は今までどんな論文を書かれているんですか?







半田

大蔵先生は胆膵、有下先生は胃の領域の論文かな。







半田

喜例先生は乳腺が専門だから、
特に乳房切除後の再建の論文を多く投稿しているよ。







桐野

喜例先生…







桐野

桐野くん、顔がニヤついているよ(笑)







半田半田

ははははははは。








 ヤバい…気持ちが表情に。







半田

それに、論文にもインパクトファクターっていうのがあるからね。







桐野

???…インパクトファクターですか?







半田

そう!インパクトファクターとは、
自然科学・社会科学分野の学術雑誌を対象として、
その雑誌の影響度・引用された頻度を測る指標のことなんだよ。







桐野

そうなんですか!







半田

そうそう。
インパクトファクターが付いている学術雑誌は
英文誌がほとんどだから、英文論文が必須になってるんだよ。







桐野

インパクトファクターのポイントが高い学術雑誌って、
何があるんですか?









桐野

ポイントの高い有名雑誌…
そうだね、全世界的には『Nature』や『Science』、『Cell』とかかな。
外科系の中では『Annal of Surgery』とかが有名じゃないかな。







桐野

さっき後谷先生が読まれていた雑誌ですね!







半田

全世界の研究者が、そういった有名雑誌への掲載を目指して、
研究したり、臨床でも臨床研究したり、
共同研究したりして切磋琢磨しているんだよ!







桐野

全世界かぁ。スケールが大きいですね。







半田

そうだね。
だからインパクトファクターの高い雑誌に取り上げられるのは本当に狭き門なんだよ。

半田

まずはインパクトファクターの高い雑誌に投稿し、
その雑誌で取り上げられなかったら、
徐々にインパクトファクターを下げて投稿していくのが一般的かな。







桐野

そうなんですね。







桐野

桐野くんもまずは論文を書くことが大切!
論文も書かなければ何も始まらないしね。







桐野

はい!







半田

わからないことがあったら、僕でも大里先生でも聞いてよ。
大蔵先生や有下先生や喜例先生ほどではないかもしれないけど、
桐野くんに教えられることもあるしね。







桐野

ありがとうございます!







桐野

でも、桐野くんはまず英語力をしっかり身につけなきゃね!







桐野

…は、はい。








桐野

ということで…

桐野

今週までにさっき私が読んでた雑誌の中にある
この英文論文を読んでレポートを書いてきてもらおうかな!







桐野

こ、こ、今週中ですか!







桐野

そうだけど、何か問題でも?







桐野

い、いえ、大丈夫です!








半田

あれ、その論文って…。
さっき江良井教授から頼まれていたレポー…







 大里先生の言葉を遮るように、後谷先生がしゃべりだす。



桐野

桐野くん!何事も勉強だからさ!







桐野

は、はい…。







…後谷先生の作戦にうまく騙された感…。

まぁ、論文を書くための練習だと思って取り組んでみよう!






桐野

桐野くん!インパクトファクターの高い雑誌に提出する気持ちで、
しっかりとしたレポートを提出すること!
誤字脱字なんてありえないからね!







 後谷先生の目の奥が全く笑っていない。 これは真剣に取り組まなくちゃいけないみたいだ…。
そうだ!まずは喜例先生に論文の書き方のポイントを教えてもらおう!


時間があったらご飯でも食べながら。 っていうのも楽しいだろうなぁ。






半田

桐野くん。また顔がにやけてるよ!






桐野

ちなみに喜例先生は今週末まで出張だよ(笑)。









 ん〜。いつもの展開…また見透かされてる。

さすが。
後谷先生もさすがの洞察力です…。







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