鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科 先進治療科学専攻 外科学講座 消化器外科学
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ゲカイチ

Vol.42

ー 外科医の年末年始 ー




 煌びやかなネオンに彩られた夜の繁華街は、たくさんの人であふれ返っている。

 今日は、ゲカイチチーム有志のおつかれ会。年始の忙しい中でも、多くの先生方が参加されている。
この高い参加率が、普段のチームワークの良さを生み出しているのかもしれない。

 島料理が美味しいと言われている落ち着いた雰囲気のお店に入ると、もうすでに半田先生が席に座っている。


 

桐野

すみません。遅れてしまいました。





 
桐野

桐野くん!遅い!



 






慌てて腕時計を見ると、開始時刻の15分前。
顔を上げると、笑顔の半田先生がこちらを見ている。






 

桐野

はははは(笑)。

桐野くん、冗談だよ。私も今さっき着いたところだよ。






 
桐野

ふぅー。焦りましたよ。







 
桐野

あっ、そうそう。
もうすぐ、大川先生も着くみたいだよ。






 
桐野

大川先生ですか!
奄美大島でお世話になって以来です。ひさしぶりにお会いできますね。
いやぁ〜、今日は参加させてもらった良かったです!
(Vol.10-11 理想と現実 参照)







 
桐野

へぇー、あの時以来なんだ!






 
桐野

はい!






 
桐野

大川先生も休暇はひさしぶりに帰省して、
実家でのんびりと過ごすって言ってたよ。






 
桐野

そうなんですか!
大川先生のご出身って福岡でしたっけ?






 
桐野

たしか…そうだったかな。






 
桐野

ですよね!僕も福岡に帰省するんで、一緒の新幹線にしようかな。






 
桐野

……ふ〜ん。









 

 ちょうどその時、入口の方から大川先生の声。
 店員さんに促されながら、すぐにこちらに気づく。






 

桐野

半田先生!ご無沙汰してますね。







 
桐野

おつかれさま。
大川先生の活躍はちょくちょく耳に入ってくるから、
ひさしぶりな感じがしないけどね(笑)






 
桐野

いやいや、まだまだです。






 
桐野

大川先生、ご無沙汰しています。
奄美大島を訪れた際は、本当にお世話になりました。






 
桐野

おーっ!桐野くん。ひさしぶり。元気そうだ!






 
桐野

はい!なんとかやってます。







 


変わらないイキイキとした表情の大川先生を見ていると、
離島医療という道はとても魅力的に感じる。






 

桐野

こっちへは、今日戻ったの?







 
桐野

はい!午後の飛行機で来ました。
鹿児島・奄美大島間も、飛行機なら本当にあっという間に着きますよ。
まぁ、本当は船旅の方が好きなんですけどね。







 
桐野

そういえば、年始は福岡に帰省されるってお聞きしました。
いつごろ戻られるんですか?







 
桐野

うん、そうだよ。
でも、急にどうしてそんなこと知りたいの?







 
桐野

あっ、いや、離島医療に携わる先生方のお休みって
どうなっているのかなと思いまして…







 
桐野

あ〜、なるほどね。
大丈夫。 年末年始は診療所も休みだよ。

 
桐野

確かに休みの日や夜間に急患が自宅まで来たり、
往診要請の電話がくることもあるけどね。

 
桐野

ぼくがどうしても島外に出なければいけないときは、
村民の方々には申し訳ないけど、
車で40分かかる県立大島病院まで行ってもらっているんだ。







 
桐野

はぁ〜。そうなんですね。







 
桐野

“安心してください。休んでますよ。”






 
桐野

……。






 
桐野

…それに、ぼくの不在時に訪問診療や
特別養護老人ホームの患者さんをお看取りするときは、
大島郡医師会の医師が代わりに行ってくれるシステムがあるから
本当に助かってるよ。






 
桐野

離島医療の年末年始ってハードすぎるイメージだったんですけど、
意外と協力体制がしっかりシステム化してて、時間取れるんですね。






 
桐野

桐野くん。ちょっとTVの見過ぎかもね。






 
桐野

はぁ……。






 
桐野

はははは(笑)。半田先生のおっしゃるとおりかもです。

 
桐野

まぁ、診療所は小さいけど、
赤ちゃんから高齢者、慢性疾患から災害医療まで、
村全体を診られるからやりがいを感じているよ。






 
桐野

そうなんですね。






 
桐野

離島以外の医者の年末年始の勤務体制だってちゃんと考えられているよ。

 
桐野

我々の場合は、一日を“日勤と夜勤”に分けて当直しています。
さらに実働の当直と、待機の当直に分けて、
実働当直は若手医師、待機当直は年配医師が担うんだ。

 
桐野

あとは、関連病院の当直の依頼もあるから、
皆で分担してお手伝いに行く。
…というシステム。

 
桐野

…というわけで、大学の先生方は、年末年始と言えども、
結構な頻度でお仕事しておりますよ!






 
桐野

ところで…
大川先生が福岡に帰省される時って、
鹿児島から新幹線?






 
桐野

いやぁ、奄美大島から福岡への直行便があるので、
飛行機で帰省しようと思ってます。






 
桐野

えっ!飛行機で帰省されるんですか!






 
桐野

…?…いつもそうだけど、何で?






 
桐野

ははははは(笑)。桐野くん、残念だったね。






 
桐野

????…。何が残念…なんですか。






 
桐野

桐野くんは、大川先生と一緒に帰省しようと思っていたみたいだね。






 
桐野

桐野くん、気持ちはうれしいんだけど、今回はちょっと遠慮しておくよ…






 
桐野

奄美経由で福岡に帰省するっていう手もあるよ。桐野くん!






 
桐野

あ…その手がありましたね(笑)。






 
桐野

半田先生、桐野くんを煽るのは勘弁してくださいよ(笑)。










 


年末の外科医の勤務体制、 とりわけ離島医療の現場の話…。
いまの僕には、かなりためになったような気がする。
大川先生の島での暮らしや患者さんとの関わりの話を聞くと、
離島で医療に携わることへの興味が湧いてくる。


 う〜ん…新年の休みは、里帰りはやめて奄美でゆったり休暇もいいかな…。
昼は自然と戯れ、夜は大川先生と熱い医療の話…。
そんなプランもありかもしれない…。


よし、さっそく大川先生とLINE交換することにしよう。






 

桐野

桐野くん…考えてることわかるよ。



 
桐野

…やりがいはあるけど大変なのは本土と同じ。
あまり相手できないからね。




 
桐野

ま。手伝ってくれる。っていうなら別だけど。






 

…いや…。やっぱり休暇は実家に帰ろう…。




 

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