鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科 先進治療科学専攻 外科学講座 消化器外科学
閉じる
▲TOPページへ


閉じる
ゲカイチでは他県で外科医として活躍され、鹿児島へ戻ろうと考えられている先生方に、留学や博士号などのご要望について、医局長が直接ご相談にのっています。
>>メールで相談する

ゲカイチ

Vol.91

ー 明るい未来のために ー




 春のにおいが消えかけたころ、今年は早々に梅雨入りとなった。
 飲食店の時短要請も再々延長となり、
世間は相変わらすコロナ禍まっただ中の暗いムードが漂っている。
どうせなら梅雨と一緒にコロナも流し去ってくれたらいいのに。

 新しい出会いを探せる日はいつになったら来るんだろう…。
なんて医療関係者にあるまじき妄想を抱きつつ、ため息の止まらない今日この頃。








はぁ〜...






 

ため息とは相変わらずだね。桐野くん。






 

吉梅先生!出、出ちゃってましたか…






 

梅雨時期にくわえて、さすがにこんな状態が続くと気が滅入るね…






 

東川先生もですか…。
こんなにコロナ禍が続くと、
新しいコミュニケーションがとれなくなって気分が晴れませんよね…





 

え?





 

え?





 

…もちろん、病院の話だよね。





 

だよね。少田先生。

まさか…、合コンの話じゃないよね…?






 

あ、少田先生。白島先生
も、もちろんです! こんな状態だと診察の環境が限られて
患者さんとのコミュニケーションが取りにくくなるなぁ…って…

当然ですよね。鉾之海先生!






 

…だよね。








 

 この時期になると、雨で締め切っているところも多く、
市内の店でもところどころでクラスターが発生した。
 いつになったら終わるのか…
まるで暗いトンネルを模索して走向しているような感じだ。


 国内でもワクチン接種が始まり、医療関係者、次には高齢者の接種が始まった。
ファイザー製のものから、次はモデルナ、アストラゼネカと承認されている。
いずれも、
『コロナウイルスのスパイクタンパク質のmRNAを注射して、
体内で作られたタンパク質に対して、免疫を誘導する核酸ワクチン。』

とされているが、この説明だけでは、一般の人にはなかなか理解されにくい。






 

今回のワクチン…
患者さんになんて説明すればわかりやすいですかね…。

『怖くて打てない』なんて言われることも多くて…。
どうですか? 飯旺先生?






 

そうだね。
まずはワクチン自体の仕組みを知ってもらうのもいいかもね。

例えば…一般的にワクチンというのは病原体をもとに作られるんだけど、
今回のコロナワクチンはちょっと違うんだ…







 

 ワクチンには大きく3種類ある。

1つ目は『生ワクチン』。
病原性を弱めた、ウイルスや細菌などの病原体を予防接種して、免疫力をつけるという仕組み。
おたふくかぜなどのワクチンが有名だ。


次に『不活化ワクチン』
これは病原性を無くした細菌やウイルスの一部を使っている。
『生ワクチン』に比べて免疫力がつきにくいから、何回かに分けて接種されることが多い。
インフルエンザの予防接種を何回かに分けて受けた経験のある方も多いだろう。


3つ目が『トキソイド』
不活化ワクチンとして分類されることもあるが、
違いは病原体の毒性が無いのに免疫を作る能力は持っている。
ジフテリアや破傷風のワクチンなどが有名だ。








 

誰にでもわかりやすいコミュニケーションを。
がわれらゲカイチのポリシー!

それじゃかつての合コン隊長、吉梅先生からやってみようか?







 

オーケー吉能先生!それじゃ…。

こんにちは!コロナワクチンです!
悪いウイルスではありません。

いきなりですが、リボソームさん、
この設計図通りにタンパク質を作ってください。
お願いします!







 

こんにちは!
体内のタンパク質合成担当のリボソームです。
こんなスパイクみたいなトゲトゲした設計図初めて見たぞ?

とりあえず設計図通りにタンパク質合成しまーす!
…って、あれ?細胞にトゲトゲしたのが生えてきたぞ?







 

こんにちは!からだを異物から守るリンパ球軍団です!

細胞にあやしいトゲトゲが生えてきたので、
とりあえず抗体をまいてやっつけまーす!







 

お邪魔しまーっす!
正真正銘のコロナウイルスだぜーっ!
トゲトゲしたカタチで、これから体を壊すぜー!







 

お、またトゲトゲしたのが出てきた!
でも、前に同じトゲトゲしたやつのやっつけ方を知ってるから大丈夫!

またやっつけまーす!







 

ギャー!ヤラレター…







 

と、まぁこんな仕組み…
といえばわかりやすいかな?









 

あ…はい。なるほど…







 さすが他の病院でも経験を積んだだけある。
突然のコントに驚いてしまったが、これだと確かにわかりやすい。

 実は、今回のコロナワクチンは、
今までのように病原体の毒性を変化させたものではない。

『メッセンジャーRNA(mRNA)』と言われ、
新型コロナウイルスのトゲトゲ部分を真似した設計図。
といったほうが一般の人にはわかりやすいだろう。

 今回のように短期間で全世界にワクチンを広めなければならない場合、
大量にウイルスを培養、複製する方式では、専用施設や、培養に時間が必要で、
すぐにそんなに多くのワクチンを作ることはできない。

この方式が今考えられる一番の対策ということになるだろう。










 

だけどね…
2回受けないといけないんだ…。

それがね…










 

現行のコロナワクチンは2回接種が必要だが、
2回目の副反応の出現率が高い。  







 

接種局部の痛みと高熱が話題になっていますね。

これはなんと伝えればいいでしょう…?







オーケー!それじゃ…







あ、コントじゃない方式で…







単純なことだよ。
1回目の接種で、新型コロナウイルスをやっつける抗体ができ始める。

そこに2回目の接種で、
ワクチンが体内に入ってくると、
最初の時より強い免疫反応が体内で起こる。
だから副反応が強く出るのは当然のことだよ。







さすが、辺田先生…。
わかりやすいです!







副反応のために治療が必要になったり、障害が残ったりした場合、
健康被害がワクチン接種によって起きた。
と厚労相が認定した場合には…

予防接種法に基づいて、
医療費や障害年金などの救済が受けられるようにするなど
万全の対策もとっているよ。







あ、そのことも一緒に伝えておけば、
ワクチンを接種する人も安心できますね。







さすがです。







とはいえ、
まだまだ未知のウイルスだから、
ワクチン接種が全世界に行き渡るまでに
時間はかかるだろうな…。












 

 現在、第4波と思われる感染者が増え、
県内でも変異株が猛威を振るっていて、現在はステージ3。
病床占有率が6割を超え、クラスターも散発的に発生している状況だ。

 軽症や無症状が多いとはいえ、
第3波に比べて非高齢者の重症化が高いと聞かされると、
医療従事者としては気が気ではない。  










 

それにしても毎日、
全国の都道府県別の感染者が発表されているのは、
みんな我慢しているのにいつの間に!
なんて嫌な気分になるよね…。







カンファレンスや研究会の制限、ウェブでの開催…







ZOOMでの会合や話し合いの味気無さ…。
一堂に集えないのは寂しいものです。







家庭内感染と飲食店での感染が
高確率と言われていますからね…。

常にコミュニケーションを模索している
桐野くんには辛いでしょうね(笑)







飲み会・懇親会なし…。

え!教授…!いつの間に!







コントを始めた時からみまもってましたよ。
なかなかの創意工夫ぶりです(笑)。

ある意味、今回のコロナ禍で、
知識にとらわれない新しいコミュニケーション方法を開拓できた。
とも言えます。

ピンチはチャンス。試練に対して前向きに努力する。
それがゲカイチのモットー。
それが明るい未来を作ることになるのです!







ですね。
僕も今後のコミュニケーションの参考にいたします!







まさか…、合コンの話じゃないよね…?







も、もちろんです!












 

   

鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科 先進治療科学専攻 外科学講座 消化器外科学

TOPページへ


ページの先頭へ戻る

ページの先頭へ戻る