鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科 先進治療科学専攻 外科学講座 消化器外科学
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ゲカイチ

Vol.77

ー オーダーメイドの時代 ー



 更衣室にシンプルだけど、おしゃれなジャケットがかかっている。
まじまじと眺めていたら、保佐先生・松龍先生と話していた葉坂先生が
怪しそうに声をかけてきた。



桐野

桐野くん、僕のジャケットがそんなに珍しい?







桐野

葉坂先生のだったんですか!
いやぁ、かっこいいジャケットだなぁって思って!






桐野

これ、葉坂先生のお気に入りのジャケットでしたよね。
保佐先生







桐野

そうそう!
よく覚えてるね。松龍先生!







桐野

これの良さがわかるなんて、桐野くんなかなか見る目があるね。
このジャケットは生地からセレクトしたオーダーメイドだからね。
僕の身体にぴったり合うんだ。







桐野

オーダーメイドですか!なんか、憧れますね。









 そんな話をしていると、研究発表の打ち合わせを終えた
田和先生・満吉先生・島平先生が話の輪に入ってくる。






桐野

オーダーメイドがどうしたの?






桐野

あ、島平先生、桐野くんが
葉坂先生のオーダーメイドジャケットを
えらく気に入ったみたいですよ。





桐野

はははは(笑)。そうなんだ。






桐野

ええ…満吉先生。
なんというか、その人に合う。ってかっこいいですよね…






桐野

オーダーメイド…と言えば、
癌治療も同じだね。






桐野

え、田和先生、癌治療も同じ…ですか?






桐野

そうだね!ちなみに癌治療…
特に消化管癌の治療法における3大治療法ってわかる?






桐野

手術療法、化学療法、放射線療法ですよね?







桐野

最近では、そこに本庶先生のノーベル賞受賞で脚光を浴びた、
『PD-1/PD-L1免疫チェックポイント阻害剤』。


桐野

いわゆるオプジーボ等の
癌免疫療法が大きく加わっているのは知ってるね。







桐野

従来の抗がん剤のように、
がん細胞を直接攻撃する薬ではなく、
免疫細胞ががん細胞を攻撃できる
環境を作り出す画期的な薬ですね。







桐野

その通り!それに、現在では
癌本体よりDNAを採取、ゲノム配列を解析して
遺伝子変異に基づいた抗癌剤、分子標的薬剤を選択して治療につなげる
『癌ゲノム療法』と言う治療法も個別化治療として確立されつつあるね。







桐野

保険適応になったことで注目を浴びている治療法ですね。







桐野

…でも、地方などの病院では難しいと聞いています…。







桐野

うん、確かに。
ゲノム配列を解析するための癌パネル遺伝子検査は、
次世代シークエンサーという機械を使って、
大量のゲノム情報を高速で処理する検査法。


桐野

だから、全国の医療機関の中でも、
がんゲノム医療中核病院・中核拠点病院と
連携する施設でしか行えないのが現実だね。







桐野

でも、ゲカイチにいる君たちは運がいい!
鹿児島大学病院はその仲間入りをしてるからね。







桐野

ゲカイチで研究に携わることができる。ってことですね!







桐野

そうだよ。







桐野

質問なんですが…。
現在の治療法の中では
『癌ゲノム療法』が一番効果的と考えていいんですか?







桐野

う〜ん。一概にそうとも言えないなぁ。
高額であることや、現在は限られたシークエンスしか同定できないし…







桐野

それに、たとえ同定され薬剤感受性が期待されても、
その薬剤が保険認証になっている可能性が低いこととか…







桐野

まだまだ問題は山積みなんですね。







桐野

そうだね。現状では誰もが完治する一つの治療法はない。
だからこそ、患者さん一人ひとりに合った
『オーダーメイド治療』が必要なんだよ!







桐野

オーダーメイド治療ですか…







桐野

やみくもに、ガイドラインに則って抗癌剤を投与するより、
患者さんそれぞれに合った治療を選び実施することで、
さらなる効果が期待出来たり、
副作用軽減にも貢献できる可能性が広がる。







桐野

なにより『これで大丈夫!』なんて安心しきるのはいけないね。
まずは、いま研究していることを足がかりに
『本当にこれでいいのか』と考え続ける姿勢を
常に持つことが大事!だと思うよ。







桐野

はい!







桐野

まずは何よりも患者さんのことを第一に考える!
目の前の患者さんに合う治療法は何かを考えながら
ベストな選択をしていくことが大切だね。

桐野

そのためには、今まで培ってきた成果はもちろん、
最先端の研究内容を常に知っていなければならないよ。







桐野桐野桐野桐野

はい!!







桐野

それにしても、オーダーメイドのジャケットの話から
最新の癌治療法の話になるなんてゲカイチらしいですね







桐野

ははははは(笑)。ホントそうだね。
癌ゲノム療法はもちろん。最新の研究を学ぶことができる
環境が整っているからこその『らしさ』だね!







桐野

そうですね!







桐野

…と言うことで、恵まれた環境にいるみんなに、
僕たちが提出するレポートを手伝ってもらうかな!







桐野

さすが!田和先生、ナイスアイデア!
よし、手伝ってもらおう!







 ん?これはこれで、話がゲカイチらしい方向に…









桐野

桐野くん、僕たちの研究してることは、永遠の戦いだ。
「これでいい」と思ったら終わりなんだ。


桐野

僕たちは
『世界中のがん患者一人一人の答えを見つけるために戦っている』
なんてね。






桐野

かっこいい…。最前線で研究している人たちは言うことが違う…






桐野

って、僕も若い時代に、教授に言われたんだけどね。





 








 

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