• TOP >
  • ショートストーリー「ゲカイチ」
  •  ゲカイチヘッダ
    若者の権利と義務。




    せんぱ〜い、これからどこ行くとですか〜






     中庭で遠くから呼びかけてくるのは、今年入学したばかりの新入生、入秤くんだ。
    一度、新入生見学でゲカイチに来た時に、案内したのが僕ということもあって、
    学内で見かけるとよく声をかけてくるようになった。






    おつかれさま。もう慣れた?







    ええ、なんとか。何と言ってもこっちはご飯がおいしいけんですね。
    先輩もそう思っとうでしょ?










     

     入秤くんは、福岡出身のようで、僕と同じく時々博多弁がぬけない。
    懐かれているのはやはり、同郷の安心感からということもあるのだろう。







     

    お、桐野くんに、入秤くん。
    今日も一緒だね






    今日も一緒…






    医学部には慣れたかい?






    ええ、この前のゲカイチの案内で、
    先生たちの熱心さと使命感に触れて、
    外科医を目指そうという気持ちがもっと強くなりました!






    お、そう言ってもらえると、『学生ハンター半田』としても誇らしいよ






    え、ええ…








     

     入秤くんの反応を見ていると、
    今年も半田先生のハンターの名前は行き渡っているようで、
    学生を外科医に導く半田先生の活動は順調といえそうだ。






    そういえば、入秤くんは『地域枠』での入学だったね…。






    『地域枠』…。
    センター試験後に通常の枠とは別に
    地域枠で応募して受験するものでしたっけ?






    そう、ちなみに地域枠の二次試験はペーパー試験ではなく面接のみ。
    地方医療現場の課題「医師不足」解消のため、
    将来地方で働いてくれる若手医師の育成に力を入れている。
    というわけです






    僕は鹿児島で働きたかったですけんね!






    うん。鹿児島大学の地域枠は、
    地方の医療従事に意欲的な医学部志願者が対象の奨学金制度なんだ。

    医学部を卒業して、医師免許の取得した後、
    県指定の医療機関に一定期間従事しないといけない!
    という縛りはあるけどね。
    入秤くんみたいな人にはピッタリだね






    6年間で県から学費が補助されるんですよ!






    うん。学費は免除、生活費もある程度の補助がある。
    簡単に言ってしまえば、県から補助をもらいながら
    地域で活躍できる医師になれる制度と言えるね






    とはいえ、卒業後は9年間、
    鹿児島県内の指定する地域の病院や、より僻地の診療所、
    離島の病院や診療所を回る義務があるんですけどね!






    正確にいうと、卒後14年の間に9年間の地域医療を行う義務。だね。
    これは、へき地や離島の医師不足解消のため取り組んでいる事業で、
    全国の多くの都道府県でも行われているんだ。

    鹿児島は離島が多いから、
    若い時期は特にへき地や離島赴任が多くなる。
    ということだね






    そこも、僕にはピッタリ。いろんなとこに行って、
    いろんな人に会いたいけんですね






    とはいえ、いいことばかりとも言えないんだな…。
    2018年より専門医制度の発足で、多くの若手医師は、

    『日本専門医機構』の認定プログラムに沿った
    19の基本領域のいずれかに所属して、
    その分野の専門医取得に向けて努力していくわけだけど、

    へき地や離島は自分が専門にしたい症例が数多くあるわけじゃない…。
    どちらかというと、
    専門領域を超えた医療・総合診療が求められることが多い。
    だから僻地にいると、専門医取得・維持の弊害もある…








    はい。それだけじゃありません…。

    地域枠に進む学生たちは、
    半田先生がおっしゃられた地域枠所属のデメリットを、
    高校時代にあまり知らされない、
    あるいは認識しないまま入学してしまう問題もあります。

     なんというか・・・知らされてはいても、医学部に入学することに一生懸命で、
    そこまで深刻に考えず、学年が進むにつれてデメリットを知り、
    将来の医師像や専門医に対して不安に思う人が多い、
    というのが現状なんでしょうね






    教授…!






    ええ…。僕も卒業後9年の義務があることは、
    ちゃんと承知したうえで受験するべきだと思ってます。
    とはいえ、モノは考えようですよ。

    CTやMRIのような設備がない状況下を想定した身体初見、
    インフラの整っていない場所での症状・
    緊急性の判断ができる授業が行われるわけで、
    医師になりたかった僕としては逆に魅力ですね。






    入秤くん、意識高いね…






    とはいえ、
    留学してゲカイチで専門分野を追求したい。
    という夢もありますけどね(笑)






    今年度、鹿児島大学では18名の地域枠の学生が在籍していますね。






    そう、それもなんだか心強いとです。
    1学年で18人、学内に108人
    同じ志を持った人たちがいるなんてすごいと思いませんか?

    しかも県からの補助をいただきながらお医者さんになれる。
    素晴らしい制度です!








    その通り。ゲカイチでも…

    月暗先生、 濱B先生

    女医では…野華先生が、
    各地域の地方医療で頑張っていらっしゃいます。

    辛いことばかり申し上げてしまいましたが、
    これは鹿児島のもともと地元の人間で、
    将来医師になろうと思っている者にとっては、
    非常にいいシステムですよ






    もともと地元…って、あれ?
    入秤くんって福岡出身じゃないの?






    え?
    僕、れっきとした鹿児島の離島出身ですよ?






    え…そのなまりは…?






    桐野先輩が学内一の合コン好きって呼ばれてるんで、
    博多なまりをマネしたらモテるのかな?…って…






    それじゃ、僕によく声をかけてくるのも…






    仲良くなれば、合コン誘ってもらえやすくなるかなぁ…って






    んー……。






    あ、もちろん、桐野先輩のコミュニケーション能力と
    意識の高さはすごく尊敬してますよ!






    いい後輩ができてよかったですね。
    言葉まで真似するなんてなかなかできないことですよ






    うん…入学したばかりの桐野くんにそっくりですよ…。

    入秤くん、桐野くんをよろしくお願いしますね。














     

    ゲカイチフッタ

<< 前のショートストーリー   次のショートストーリー >>

TEL 099-275-5361 FAX 099-265-7426
〒890-8520 鹿児島市桜ヶ丘八丁目35-1

Copyright (c) 2020 Department of surgical oncology kagoshima university graduate school

TEL 099-275-5361 FAX 099-265-7426
鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科 腫瘍学講座 医局長:蔵原 弘 〒890-8520 鹿児島市桜ヶ丘八丁目35-1