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    当直のココロエ



     

     どちらかといえば夏は嫌いじゃない。
    だけどこう暑ければ、冷たいものでも体に入れておかなければやってられない。

    …ということで
    今朝も食べたアイスを買いに一番近いコンビニへ外へ出た瞬間、急な痛みに襲われる。



     

    桐野

    う…、イタタタタ…。


     
    脂汗が額から流れてくる。

    ちょうどその時、近くを通りかかった
    小田P先生と呂井先生 (Vol.71参照)が駆け寄ってくれた!






     

    桐野

    桐野くん!どうした?!





     
    桐野

    大丈夫?





     
    桐野

    なんか、お腹が…。





     
    桐野

    とりあえずバイタルを取りに戻ろうか?





     
    桐野

    い、いや。
    だ、だ、大丈夫です…。
    だいぶ痛みが引いてきました…。





     
    桐野

    ダメ!念のために!






     


    小田P先生と呂井先生に促されて、バイタルが取れる診療スペースへ行くと、

    この夏、ゲカイチに戻ってこられた小竹先生と葉坂先生。







    桐野

    桐野くん、どうした?体調悪いの?





     
    桐野

    ちょっと腹痛が…。
    でも、今はもう治ったので大丈夫です。






     
    桐野

    それは良かった!でも、腹痛をなめちゃいけないよ






     
    桐野

    そうですよ!






     
    桐野

    単なる腹痛だと思っていても、
    例えば、胆石胆嚢炎とか、
    虫垂炎や腸閉塞などの場合もあるからね。






    桐野

    そうそう!でもその中でも、
    SMA血栓症や消化管穿孔、解離性の動脈瘤など、
    重篤なものがある可能性もあるので要注意だよ。







    桐野

    …そうなんですか…







    桐野

    軽傷に見えてもその奥に
    重篤なこともあるから細心の注意が必要だね。







    桐野

    そう言われると、
    なんだかまたお腹が痛くなってきました…。







    桐野

    自分が専門にしている腹部外科関連であれば強いけど、
    関連病院や応援要請があった病院の当直では、
    急患患者さんの処置をしなければいけない時もあるからね。







    桐野

    当直ですか!?







    桐野

    あれ?まだ2人は行ったことがなかった?







    桐野

    はい…。やっぱり当直ってそんなに大変なんですか?







    桐野

    まぁ、行った先の病院の方針にもよるけどね。







    桐野

    療養型が中心の病院などは、
    急患の外来や入院患者さんの急変も少ないけど、
    急性期病院や救急車を積極的に受け入れられている病院では、
    常勤医が働いている時間はもちろん、


    桐野

    時間外や土日であろうが関係なく患者さんがいらっしゃるね。







    桐野

    そうなんですね。







    桐野

    ゲカイチでの残務や事務処理をやろうと思って色々持って行ったけど、
    全く手つかずのままでそのまま持ち帰る事もしょっちゅうあるよ







    桐野

    当番医と言っても、
    内科当番、外科当番、内科・外科当番とパターンは色々あるんだよ。


    桐野

    その中でも、冬は内科系当番、夏は外科系当番が比較的忙しくなるね。







    桐野

    なんでですか?







    桐野

    冬は寒くなるから感冒やインフルエンザ、
    嘔吐下痢症などが流行することが多い。


    桐野

    逆に、夏は暑さで、脱水をはじめ蜂やムカデなどの虫刺され、
    奄美などの離島ではハブに噛まれた…とかね。







    桐野

    じゃあ、外科医にとっては今の時期の当直が要注意ですね?







    桐野

    そう!だから、脱水には点滴、アレルギー関連はステロイド、
    炎症には抗菌薬投与がメインなど、
    緊急対応の処置マニュアルはすべて頭に入れておかないとダメだよ。







    桐野

    そうですね。







    桐野

    外科系といっても幅広い!
    腹部外科もあれば、整形外科、脳外科関連、皮膚科も耳鼻科も眼科まで、
    患者さんは待ってはくれない!


    桐野

    救急車での搬送もあれば、電話で問い合わせてからもあるし、
    飛び込みで来ることもよくあるね。

    だから、常に柔軟に対応することが大切だよ。







    桐野

    そうそう!基本的には、なんかおかしいな?と思ったら
    帰さずに入院させるのが鉄則!
    採血したり、レントゲン撮ったり、CTを撮ったり、用心深く、
    検査をし過ぎるに越したことはないのかもね。


    桐野


    高齢者の方などは、あれよあれよと言う間に悪化してしまうこともあるから。
    ましてや、骨折や中耳炎や結膜炎、 さらには硬膜下血腫や多発外傷など、
    専門外の外科系急患は多岐にわたるから、
    とにかく、慎重な診察・対応が大事なんだ!!







    桐野桐野桐野

    はい!





     



    ん…お腹の音とともに、また腹痛が襲ってきた。




     



     
    桐野

    イタタタタタ…。







     
    桐野

    大丈夫?やっぱり横になった方がいいんじゃない!?








     
    桐野

    い、いや、大丈夫です…。
    実は最近はまっているアイスがあって…。

    昨日から食べ過ぎてしまって…。







    桐野

    アイスの食べ過ぎ…!?







    桐野

    は、はい…。







    桐野

    はははははははは。







    桐野

    心配して損しちゃったよ!







    桐野

    本当にすみませんでした!
    呂井先生と小田P先生がすごく心配してくださっていたので、
    何だか言いづらくて…。







    桐野

    とりあえず原因がわかって良かったじゃないですか








    桐野

    桐野くんのケースはあまり参考にならないけど、
    どんな時でも小さなことも見逃さないようにすることが大切だね。






     

     …どんな小さなことも見逃さず、慎重に対応する!

    僕が言うのもなんだが、当直はもちろん普段の診療も、
    用心しすぎるにことはないんだ…。





     

    桐野

    桐野くん!
    いずれにしても夏の腹痛をなめたらいけないよ。







    桐野

    そうです、そうです!
    ということで、桐野くんは当分アイス禁止だね!







    桐野

    あと、冷たいものも控えた方が良いので、ビールも禁止かな!







    桐野

    はははは(笑)。それは良い!







    桐野

    えっ!今週末、合コンがあるのに!

    一人だけ温かいお茶とか飲んでいたら、絶対モテないですよ(泣)







    桐野

    自業自得







    桐野

    そんな~!








     

     

     

    ゲカイチフッタ

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