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    The surgeons



     

     たまに、ふと思うことがある。

     『僕には趣味がない…』

     以前半田先生に誘われたマラソンは、走ろうと思う時に限って雨が降り、いつの間にか遠ざかってしまった。このままでは、合コンの定番の質問『休みの日は何してるんですか?』になんて答えれば良いのだろうか…。

     そんなことを考えている時、近くで楽しそうに会話している後谷先生たちの声が聞こえてきた。




    桐野

    じゃあ、来週の金曜日にいつものスタジオで!


     
    桐野

    わかりました!


     
    桐野

    楽しみだね!



    桐野

    それまでに練習しときます!






     

     いつものスタジオ?練習?
     一体何の話をしているのか興味が湧き、思い切って声をかけた。




     

    桐野

    後谷先生、お話中にすみません。
    来週の金曜日って、何かあるんですか?





     
    桐野

    何?急にどうしたの。






    桐野

    いやぁ、みなさんが楽しそうにされてたので、
    すごく気になって…





     
    桐野

    あぁ…バンドの練習の話してただけだよ。






    桐野

    バ、バ、バンドですか!?





     
    桐野

    どうしたの?






    桐野

    バンド…されてるんですか?





     
    桐野

    うん?






    桐野

    みなさん、忙しいから続けにくくないですか?






    桐野

    そんなことないよ。楽しみでやってるからね。

    でも、忙しいからこそ、
    みんな練習の時から真剣に取り組んでいるよ。






    桐野

    ほら、去年の消化器学会で演奏してたでしょ!






    桐野

    あっ!そうでした!
    江良井教授が歌われてましたね!






    桐野

    そうそう。
    学生のサークル『うた部』のバックコーラスも入って
    なかなかの反響だったでしょ!






    桐野

    バンドだけじゃなく、クラシックとかDJとか、
    外科医には音楽好きな方が意外と多いんですよ!






     

     いつの間にか、去年の消化器学会の懇親会でボーカルを務めた
     江良井教授が話の輪に入っていた。





     

    桐野

    きょ、教授…。





     
    桐野

    去年の消化器学会で演奏したテーマソングも
    江良井教授が作詞した曲だからね!






     
    桐野

    私もいるよ!サックス担当なの。






     
    桐野

    紅一点。
    江元先生のおかげでメロディにツヤが出るんですよ。






     
    桐野

    え…そうなんですか!





     

     バンドの話でご機嫌になった教授が 、
     第73回日本消化器学会総会テーマソングを口ずさんだ。




     

    桐野

    ♩We are the surgeon,we are… we are…

     春歌秋冬 春歌秋冬 それぞれの季節を楽しむ…






     
    桐野

    ああ、あの時の!
    かっこよかったです。



     
    桐野

    手技や研究はもちろんだけど、
    プライベートも充実してこそ、外科医として一人前!

    桐野

    自分自身が毎日を楽しく生きることで、
    患者さんの生きがいや活力など、
    それぞれのライフタイムバリューに共感できるようになるからね。

    桐野

    そういうところから、
    もっと患者さんに寄り添った治療につながる!

    桐野

    そんな熱い思いを持った仲間たち、
    それが…





     
    桐野桐野桐野
    桐野桐野桐野

    私たち、『surgeons』です!





     
    桐野

    お、お、お〜。






     

    なんだかよくわからないけれど、圧倒されてしまった。





     

    桐野

    はははは(笑)。
    長年一緒にバンドをやっていると、息が合ってきますね!




     


    すごいチームワーク…。



     

    桐野

    バンドも、医療もチームワークが重要だからね!





    桐野

    まさしく、新畑先生のおっしゃるとおりです。
    そういう意味でも、特にバンドはいいですね。


    桐野

    一人では出せない音やリズムをみんなの力が重なることで生み出す、
    チームワークの大切さを肌で感じることができますからね。




     
    桐野

    そうだ!
    桐野くんも来週金曜日の練習に顔だしてみない?





    桐野

    えっ!いや、
    僕は楽器とか触ったことないので…。





    桐野

    大丈夫。
    楽器がダメならコーラスとかもあるから。





    桐野

    そうですね。去年の消化器学会では、
    『うた部』の学生のみなさんのバックコーラスにすごく助けられました。
    『うた部』の学生の方々もゲカイチに入局してもらいたいって、
    思っていたのでちょうど良いかもしれませんね。





    桐野

    バックコーラスですか…。
    実は僕、歌があまり上手くなくて…。





    桐野

    桐野くん!
    音楽は『心』ですよ。





    桐野

    心ですか…。





    桐野

    そうそう、あとは練習のみ(笑)




    桐野

    はははは、そのとおり(笑)!
    う〜ん、そうですね、桐野くんには…
    最近の若者っぽくラップ担当なんかどうですかね?






    桐野

    …ラップですか!?





    桐野

    それは新しい!


    桐野

    なんだか面白くなってきましたね!


    桐野

    今度の練習がさらに楽しみになってきましたね!





    これは…、なんだかよくわからない展開になってきた…。
    しかし…楽しそうに自分の好きなことをイキイキと話をする
    先生方の顔はとてもキラキラ輝いている。


    手技を磨いたり研究を高めることは大切!
    でも、仕事だけじゃなくプライベートを豊かにすること。
    それが患者さんに寄り添う治療にもつながる。
    …チーム一丸となって共通の想いをカタチにすることが重要ってことか…。


    …趣味がラップっていうのも合コンで意外とモテるかな…。
    よしっ、とりあえず、帰ったらラップの動画を検索してみるか!



    桐野

    桐野くん…、
    大事なのはいろんなことを楽しんで、
    真剣に取り組む姿だよ…





    桐野

    えっ…あ…はい!

    オンもオフも真剣にモテに取り組む姿ですね!




     
    桐野

    (やれやれ…)








     
    ゲカイチフッタ

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