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    医師の働き方改革




     カンファレンスが終わり、窓から見えるのは雲ひとつない青空。
    やっぱりこの時期の空は気持ちいい!


    ………なんて気分にはなれず、僕の心は沈んでいた。



    桐野

    はぁぁ…………。






    桐野

    (小さな声で)桐野くん…ため息つかない…っ!






    桐野

    あっ…すみません。





    医局へと戻る廊下、
    4月から入局された先生たちと談笑しながら歩く
    半田先生に声をかけられる。





    桐野

    どうしたのなんかあったの?

    よければ聞くよ?






    桐野

    いや、実は、昨日ひさしぶりに
    合コンの幹事をやったんですけど、
    段取りがうまくいかなくて
    集まったみんなから大ひんしゅくで…






    桐野

    ははははは。そんなことで? 落ち込んでるの!






    桐野

    僕にとっては笑いごとじゃないんですよ…






    桐野

    でも、そんなに落ち込むくらいの
    大ひんしゅくを受けられるって
    何をやらかしたんですか?




    今年入局したばかりの松龍先生だ。





    桐野

    相手の方にメンバーをちゃんと伝えてなくて、
    男女比率がめちゃくちゃに…






    桐野

    それは…大ひんしゅくですね(笑)






    桐野

    ですよね。小田P先生。
    やっぱり…






    桐野

    幹事も医師も、段取りが大切だからね






    桐野

    段取り…ですか。






    桐野

    そう! 呂井先生、
    最近、働き方改革がニュースになってるよね。






    桐野

    ええ、たしかに。






    桐野

    だよね、田実先生。
    昔は『医療は奉仕の精神が基本』て言われてて、

    桐野

    休日でも時間外でも関係なく患者さんと向き合ってきたし、

    『それが当たり前』。て感じだったんだ。






    桐野

    それは、今よりもハードだった…。
    ということですか?






    桐野

    うん、野華先生、
    そうかもね。






    松龍先生、小田P先生、呂井先生、田実先生、野華先生たちは
    入局したばかり、ということもあっていろいろ興味津々。 といったところだろう。





    桐野

    でも今は、
    医師がとってた採血・点滴のルートは、
    看護師がしてくれるようになったし、

    桐野

    標本採取しての切り出しは、病理医にお願いするようになった。

    小さいことに思われるかもしれないけど、
    これだけでだいぶ違う。







    桐野

    え〜昔はそんなこともしてたんですか…




    桐野

    そうだよ。

    それに…術中の迅速組織診断の提出を
    医局のラボさんにお願いするようになったね。

    桐野

    医療技術の進歩で昔より入院日数が短くなって、
    手術記録や退院サマリーを短いスパンで書かなくちゃいけないから、
    この作業自体がなくなったのはホントありがたいね!






    桐野

    でも…
    若手医師の採血や、点滴ルート取りの技術が低下する可能性も否めないし、
    採取した標本や病理を、じっくり見る機会が減ったから、

    桐野

    術前・術後の診断の照らし合わせの機会が減ってしまう。

    ということもあるんだけどね






    桐野

    たしかに…ですね。






    桐野

    だから、『段取り力』が重要になってくるんだよ。






    桐野

    は、はい…






    桐野

    でも、医師は患者さんに寄り添う仕事だから、
    自分本位の段取りじゃダメだよ。

    桐野

    患者さんはもちろん看護師のみなさん、
    他の先生方、医療補助業務の方々…、
    すべての人と、きちんとコミュニケーションをとることは
    とても大切なんだ。






    桐野

    コミュニケーションかぁ…






    桐野

    ちなみに、
    ゲカイチの働き方改革は、どんなことがあるんですか?






    桐野

    うん、基本的に勤務時間外・休日は患者説明を行わずに、
    平日の勤務時間内に行うようにした。

    桐野

    前は主治医がやるのが前提だったから、
    勤務時間外でも主治医に沢山のコールがきてたんだけど、
    時間外・休日の回診や指示出しは、
    当直・当番にお任せするようになったね。






    桐野

    あ…!メールでの事前周知・徹底で
    会議やカンファレンスが長引かないような工夫や、

    桐野

    『病院に長時間いることが美徳』
    ってならないような雰囲気作りもやってるんですよね。






    桐野

    そんなこともやっていたんですね






    桐野

    まぁ、どんな職業も大変だよね。
    でも、医師という職業は人の命と真正面で向き合う仕事だから、
    とても大きな責任だけど、やりがいのある仕事だと思うんだ。

    桐野

    まずは今後、学生や若手医師が、なりたい!やりたい!
    と思える環境を整えること。

    それこそが、最も大切なんじゃないかな。って思っているよ。






    桐野

    半田先生がそこまで思っていたなんて…!

    感激です!






    桐野

    感激ですね!






    桐野

    今年入局された先生方はもちろん、
    ゲカイチで一緒に働く未来の先生たちが、
    もっといい環境で仕事に取り組めるよう
    微力でも力になれたらうれしいよね!







    …ん…?

    今日の半田先生は、いつになく優しい…。







    桐野

    『患者さんの医療体制を守りつつ、
        医師の働き方改革をおこなう』

    桐野

    そのためには、医療クラークや補助業務の方々の
    業務参入などのハード面はもちろん…、
    僕たち医師の固定概念や、考え方も変えていかなければ。

    桐野

    …って思うよ。






    桐野桐野桐野

     

    桐野桐野

    はい!






    なるほど。平成から令和へと元号が変わった今、
    僕たち医師の働き方ももう一度見直さなくていけない時。
    ということか。

    ……やっぱり、今日の半田先生はいつもと違うな…。






    桐野

    一番は患者さんだから、
    患者さんの気持ちを、第一に考えられる医師にならなきゃね!







    桐野

    …ん…???





    なんとも言えない、違和感を感じて、
    新しく入局された先生方が持つ手元の資料に、ふと目をやる。

    アンケート用紙のような紙がちらりと見えた。






    桐野

    …野華先生…その資料は…?






    桐野

    これですか…?
    新たに入局した私たちを、
    院内誌で紹介するためのアンケートですけど…?






    桐野

    ちょっと見せてもらってもいいですか?






    「なぜこんなものを?」といいたげな不思議そうな顔で、
    野華先生がアンケート用紙を渡してくれた。







    桐野

    …こ、これは………。




    Q.5-----------------------------------------------
    「ゲカイチで特に印象に残った先生はいますか?」
    ----------------------------------------------------


    ……なるほど……。そういうことか…。







    ゲカイチフッタ

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