• TOP >
  • ショートストーリー「ゲカイチ」
  •  ゲカイチヘッダ
    異国にて暮らすこと






     「何事も経験と訓練。」
    と半田先生から年末恒例の忘年会の『幹事』を任命される。
     とはいえ、何から準備すれば良いのかわからない。


    まずは、他の先生方に相談しようと医局へ行く途中、
    パキスタンから留学中のアレクシス先生(VOL.60参照)と目があった。







    桐野

    Hello, how are you?








    桐野

    オヒサシブリです。キリノ先生。
    エイゴガ、トテモ上手にナリマシタね。








    桐野

    Thank you for praising me.
    おっ。アレクシス先生。なんだか日本語うまくなってますね。








    桐野

    アリガトウゴザイマス。
    マダマダ学ブコトタクサンでス。医学も日本語も道のりは長いデスね。








    桐野

    なんだか言い回しまで…。
    日本語は全然大丈夫ですよ。まぁ僕の英語と比べたら…








    桐野

    ミナサンガ英語デ話シカケテクレルのは、
    トッテモウレシイデスガ、ソウナルト日本語がナカナカ上達しなくて…。


    桐野

    でも喋っているうちに滑らかになってきます。こんな風に(キリッ!)









    桐野

    (WAO!本当だ。滑らかになってきた…)こっちの暮らしは慣れましたか?









    桐野

    まぁ、だいぶ慣れましたけど
    生まれ育ったパキスタン以外で暮らすのは楽ではないです。









    桐野

    と言うと?








    桐野

    Well…umm…。日常会話だとなんとかだいぶ理解できますが、
    日本語での朝のカンファレンスだと専門的な言葉が多くて難しいデス。


    桐野

    あと、遠い母国で暮らす両親や兄弟に会えないのも、寂しい。
    それに文化や価値観の違いを感じますね。
    まぁ、ゲカイチのみなさんとか、優しく親切だから、こっちの暮らしをエンジョイです。









    桐野

    それは良かった!日本で暮らしていると文化の違いなんて考えたことがなかったなぁ。
    ところで、アレクシス先生はどうやって英語を学んだんですか?









    桐野

    英語は僕の国の公用語だから、小さい頃から学校で学びます。
    私の故郷パキスタンでは、エリアごとに言葉があって、
    エリアが違うと英語でしか会話できないコトもありマス。








    桐野

    そうなんですか!








    桐野

    そういえば、桐野センセイは英語を学びたいって言ってましたけど、
    その後どうデスか?








    桐野

    それが、さっぱりでして…。








    桐野

    一番手っ取り早い英語の上達方法は、
    外国人の恋人を作るコト。ドウですか?








    桐野

    そ、それはちょっと自信がないな…。








    桐野

    大丈夫デス。『当たって砕けろ』の精神です!








    桐野

    Ooh…当たって砕けろ…。


    桐野

    それにしても、アレクシス先生はことわざを良く知っていますね。
    そういえば、ゲカイチでもアメリカに留学している先生がいるんですが、
    どうしているのかな…。








    桐野

    慣れない場所で言葉には苦労しているかもですが、
    きっと私と同じようにエンジョイしていると思いますヨ。
    桐野センセイも海外で暮らしたいデスか?








    桐野

    ん…そうですね。漠然とした憧れはあるんですが…。







    桐野

    そうですか!桐野くんは留学希望なんですね!








     いつの間にか、僕の後ろに江良井教授と、ネパールから留学されているネパリオ先生が立っていた。








    桐野

    え、江良井教授!
    そうですね、いつか留学できたらとは思っていますが…。








    桐野

    うん。桐野センセイ!頑張ってクダサイ!








    桐野

    …は…、はい!








    桐野

    いい心がけですよ。若い先生方もそうなんですが、
    最近の日本人は内向的で海外に目を向けていないのではと懸念しています。








    桐野

    ケネン?








    桐野

    心配しているって意味ですね。








    桐野

    Oh!心配デスね。








    桐野

    今はインターネットのおかげで、どこにいても、日本の人と連絡ができる便利な世の中ですが、
    もう、昔は手紙のやりとりしかできませんでしたから。


    桐野

    私が海外に留学していたころは、日本からの郵便に入っていた日本語の新聞を、
    何度も何度も読み返してした思い出があります。








    桐野

    江良井教授はどこに留学されていたんですか?








    桐野

    ええ…ドイツに留学していました。
    私が若い頃はドイツに留学する人が多かったんですが、最近はアメリカが多いみたいですね。


    桐野

    それに、最近ではアレクシス先生やネパリオ先生のように
    海外の優秀な先生方が日本に留学されることも多くなってきており、
    世界は徐々に変わってきているのかもしれませんね。








    桐野

    ソウですね。








    桐野

    言葉も文化も異なる国で暮らすと苦労は絶えないかもしれませんが、
    その何倍も日本では体験できない経験を積むことができると思います。


    桐野

    桐野くんのような若い人たちにはぜひとも海外で挑戦する気概を持って欲しいですね。
    ゲカイチでは、そのためのサポートもしっかりしていますよ。








    桐野

    僕もいつの日か…。








    桐野

    その意気です!でも、桐野くんはまず英語を身につけなきゃね。








    桐野

    は、は、はい…。








    桐野

    ワタシから桐野センセイに一つ提案がありますが、イイでしょうか?








    桐野

    提案?どんな提案なんですか?








    桐野

    実は、術前のカンファレンスやミーティングに参加してイマスが、
    専門的な日本語の壁にぶつかってマス。


    桐野

    ワタシとアレクシス先生が英語でのプレゼンテーションを教えますので、
    ワタシたちに日本語でのプレゼンテーションを教えてクレマセンか?








    桐野

    Nice idea!








    桐野

    それは、いい考えですね!








    桐野

    デハ、早速、明日から一緒にガンバリマショウ!








    桐野

    【善は急げ】ですネ!








    桐野

    私はネパールから奥さんと一緒に日本に来て日本語を勉強しました。
    【思い立ったが吉日】。


    桐野

    キリノ先生も大丈夫です。








    桐野

    は、は、はい……。










     Ooh…忘年会の幹事のことを聞きにきたら、
    いつの間にか、先生たちとの英語・日本語レッスンが決まってしまった…。

     アレクシス先生とネパリオ先生に日本語を教えることができるか。そっちの方が不安だ。
    先生たちの言うように外国人の恋人を作る英語上達法のために、
    英語の上手な女性と出会える場所を探すのも一手。

    そう思うとなんだかやる気も出てきたような…








    桐野

    桐野くん、英語の練習も大事ですが、
    幹事の方もよろしくお願いしますよ。


    桐野

    あ、あと勉強の方もね。
    お二人も研究だけでなくてその他のことも一生懸命頑張っていますよ。






    桐野

    は、は、はい……。






       
    ゲカイチフッタ

<< 前のショートストーリー   次のショートストーリー >>

TEL 099-275-5361 FAX 099-265-7426
〒890-8520 鹿児島市桜ヶ丘八丁目35-1

Copyright (c) 2019 Department of surgical oncology kagoshima university graduate school

TEL 099-275-5361 FAX 099-265-7426
鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科 腫瘍学講座 医局長:蔵原 弘 〒890-8520 鹿児島市桜ヶ丘八丁目35-1