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     2016年は地震や台風など多くの天災が発生した年でした.
    4月に熊本地震,10月には鳥取地震が起こり,いつ自然災害が発生するかわからないことを改めて感じるとともに,日頃からの訓練や対策が重要と思われました.とくに熊本県には教室関係の先生やご親族が住まれ,大変ご心配だったと拝察いたします.改めましてお見舞いを申し上げます.



     8月にはリオ・オリンピックが開催され,日本人の目覚ましい活躍が光りました.
    メダルの個数は史上最多の41個(金12,銀8,銅21)で,選手の必死な姿に感動されたと思います.私は11月3~6日の第24回JDDW(日本消化器関連学会週間)で直接お会いし,握手をしたレスリングの吉田沙保里選手を個人的に応援していましたが,4連覇達成はならず銀メダルに終わるという結果でした.
    しかし,オリンピック3連覇,12年にわたり世界一に君臨し続ける肉体的,精神的な強さには敬意を表さずにはいられません. 11月24~26日に開催された第78回日本臨床外科学会総会では,オリンピック3連覇を遂げた男子柔道の野村忠宏さんの講演を聴きました.6分間,20回の練習を漫然とこなしていたところ,監督から,「6分間を決勝戦の試合だと思って全力で戦う練習をしろ」と言われ目が覚めた.それから急に強くなり,オリンピックで優勝することができたと話しておられました.日頃の練習でも,決戦をシミュレーションした集中力を養うことが重要ということです.

    手術を学ぶ際にも,先輩から教えられがまま漫然とこなすのではなく,術前のシミュレーション,術中の手術プロセス,術後手術記録での確認と1例1例に気合を入れて臨んでほしいと思います.


     10月にはノーベル生理学・医学賞を大隅良典先生が受賞されました.10月20~22日に開催された第54回日本癌治療学会で講演を拝聴しましたが,オートファジー(自食作用)の仕組みの解明に関して,実験を重ねてこられた素晴らしいお話でありました.当科でも以前よりオートファジーに着目して,食道癌との関連を研究してきた経緯がありますが,オートファジーの概念が素晴らしいことを改めて認識しました.今後さらにこの分野での研究に拍車がかかると予想されます.


     さて,教室関連の出来事では,4月には3名(男性2名,女性1名)の新入医局員を迎えました.3人とも非常に熱い志を持った外科医であり,将来が大変楽しみであります.先輩の先生方は暖かく指導していただきたいと思います.4月9日には鹿児島大学外科4科,消化器乳腺甲状腺外科,心臓血管消化器外科,呼吸器外科,小児外科で第2回拡大外科同門会を開催いたしました.大阪大学消化器外科教授森正樹先生より,「子供を外科医にしますか?」というタイトルで,日本および大阪大学外科の現状,外科医の将来像について熱い講演をしていただきました.又木雄弘先生が全国の消化器外科教室78施設に新入外科医局員の人数に関するアンケート調査では,最近5年間の入局者数は全国で1年あたり4.8人であり,当教室は4.2人でほぼ中間でした.しかし都会と地方に分けた場合,都会にある56大学では5年間で30人,1年平均6人であるのに対し,地方の22大学では5年間で10人,1年あたり2人であり,有意差をもって少ないという結果でした.地方外科医減少に歯止めをかけたいと外科4科が協力して外科専門医制度を考えてきました.今年度の導入・開始は見送られ,地方医療がピンチの今こそ,4外科が協力して鹿児島外科医療を盛り立てていくことが必要と新しいプログラムで臨むことで一致しています.


     5月5日,本同門会副会長の黒島一直先生が64歳でご逝去されました.私も長い間,大変お世話になり,敬愛しておりました.先生とは社会の出来事,日本の将来,生き方など様々な話題について話をしました.寺田病院に出張した後輩の先生方も学ぶところが多かったと思います.先生のご冥福を心よりお祈りいたします.


     9月15,16日には第27回日本消化器癌発生学会総会を城山観光ホテルで開催しました.
    テーマは「種芽木林 -癌発生,進展と制御-」としました.癌の観点からみると,1個の細胞から癌が発生し(種),分裂を繰り返し,次第に顕性化し臨床的に画像で捉えられるようになり(芽),やがて大きな腫瘍となり(木),最終的に転移巣を形成する(林),この過程をイメージしたものです.一方,癌の発生・進展に対して,私たちは基礎および臨床研究を通じて,診断・治療に応用し,患者さんに貢献していくことが責務であります.
    癌研究という観点からは,研究のシーズ(種)を育み,次第に結果が出る(芽)と注目され始め研究費等も獲得でき,さらに研究が進展し(木),最終的に多くの施設との共同研究に結実していく(林),このような姿をイメージしました.シンポジウムには多くの演題を応募いただき,一般演題(口演,ポスター)を含め合計で200題の応募をいただき,盛会裏のもとに終了することができました.
    同門・関連病院の先生方,前村公成事務局長をはじめ教室の先生方のご協力に感謝いたします.


     さて本年の学位取得者は3名(川崎洋太,新田吉陽,田上聖徳の各先生)でした.
    自分自身の研究の通過点のひとつとして学位取得は大変意義があると思います.今後,臨床の現場での診断や治療,周術期管理など物事の考え方にも応用してほしいと思います.また関連病院の部長以上の先生方も日々の診療で大変だと思いますが,ローテーションで出張してくる若い先生方の手本となるためにも学会発表や論文執筆など自らも自己研鑽してほしいと思います.



     本年度の同門会総会の特別講演は,株式会社 新日本科学代表取締役・メディポリス医学研究財団 理事長の永田良一先生に「弘法大師空海に学ぶ組織運営戦略」というタイトルでご講演いただきました.その中から大変印象深かった部分を抜粋して紹介します.「この世には,自分も他人もそれぞれ独立して存在している.
    しかし,先に示した人類という視点,ならびに生まれる前の世界も死に逝く世界もお互いに共有していることを考えると,自他の区別はもともとなく,実は,自分も他人も本質的な違いはない,という考え方もできる.周囲の人たちとの関係性の中に自分の存在を見出し,お互いに争うのではなく,協力して助け合い,調和することでより良い現実と未来を作っていくための智恵を指し示す言葉が二而不二(ににふに)と考えられる.
    遠い先祖から引き継いできた命の流れを肌で感じて,次世代により良い環境を残していくように努め,これを人生の本質的な目的と思うと不思議と気持ちが楽になる.」私たちの教室も先人の努力によって立派な組織として形造られ,継続されてきました.

     現在の医局に属する先生方は切磋琢磨すると同時に,今健康で仕事ができている有難さを分かち合い,これから教室を支えていく若い人材を育てていこうではありませんか.


     私たち医師は生涯教育を実践していかなければなりません.
    学会や論文などから多くの知識(Knowledge)を得て,臨床の現場や研究のために勉強し続け(Keep),次の症例に役立てる,あるいは研究を進展させる手がかり(Key)を見出す必要があります.
    これらの作業は,一人よりも多くの力で行えば効率が上がります.
    皆さんとともに,二而不二の精神で本年度も邁進していきましょう.




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