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    縁の下の力持ち




     医学は常に進歩している。

     ここゲカイチでもその進歩の一翼を担う研究に取り組まれている先生方がいらっしゃる。
    その一人が高島先生だ。(Vol.42「モチベーション」)

     以前、高島先生が現在取り組まれている研究の話を聞かせてもらってから、
    基礎的研究に対する興味が高まり、
    時間を見ては高島先生がいらっしゃる研究室にちょくちょくお邪魔することが多くなった。


    (コンコン)



    桐野

    失礼します!






    桐野

    どーぞ






    桐野

    高島先生、お忙しいところすみません。
    少しお時間をいただいてもよろしいですか?






    桐野

    ちょうど今休憩しようと思っていたところ。大丈夫だよ。






    桐野

    ありがとうございます。






    桐野

    ところで、今日は何?






    桐野

    この前教えていただいた高島先生の研究を
    もう少し詳しくお聞きしたいなぁと思いまして。






    桐野

    えーと、そうだね、僕の研究では、
    手術中に膵臓(すいぞう)がん患者さんの腹腔を洗った水を採取し、
    「リアルタイムPCR」という手法で遺伝子を増やして
    がん細胞を含むメッセンジャーRNA(リボ核酸)を調べているんだよ。






    桐野

    がん細胞を含むメッセンジャーRNAを調べることで、
    何がわかるんですか?






    桐野

    がん転移の危険を予測することができるんだ。






    桐野

    え?がん転移の予測ができるんですか!






    桐野

    これまで、がんを切除した28人の患者さんで試みることができたんだけど、
    がん細胞を検出したお二人はいずれも1年以内に腹腔内に
    がん細胞が散らばる「腹膜播種」という転移が起きて、がんが再発したんだ。






    桐野

    そうなんですか…






    桐野

    そして細胞が見つからなかった26人の方では、
    11人の方が再発という結果だったんだ。






    桐野

    ということは…精度が高くなるように実用化することができれば、
    がん再発の早期発見がより早くなりますね。






    桐野

    そのとおり。今後は多くの患者さんに協力してもらい
    予測精度を検証していかなきゃならない。


    桐野

    でも、研究の精度を高めるためにより多くのデータを分析するのは、
    どうしても一人じゃできない。


    桐野

    そんな時、とても力になってくれのがラボさんなんだ。
    僕はラボさんには本当に感謝してる。






    桐野

    本当にそうですね。







    ちょうどその時、医局運営をサポートしてくださるラボの一人、徳蔵さんが研究資料を持ってやってきた。







    桐野

    高島先生。頼まれてた資料、先生の机に置いときますね。






    桐野

    あっ!いつもありがとう!






    桐野

    あれ、桐野先生!どうしたんですか、こんなところで!






    桐野

    いや、高島先生が取り組まれている研究について
    いろいろ聞いてたんですよ。






    桐野

    桐野先生は本当に勉強熱心ですね。






    桐野

    そんなことないですよ。






    桐野

    桐野先生もいろいろ勉強しなきゃいけないから、毎日忙しいですね。






    桐野

    徳蔵さん達の忙しさに比べたら、まだまだです…。






    桐野

    そりゃね。徳蔵さんたちに比べたらね…そうかもね。






    桐野

    そこまではっきり言われてしまうとちょっと悲しいですけど…






    桐野

    はははは。








    医局のラボさんの業務は多岐にわたる。

     教授をはじめとする先生方や医局員の業務サポートはもちろん、
    学会発表などの際のホテル・交通の手配や医局全体のスケジュール管理、
    実験をスムーズにおこなうための補佐から摘出標本の迅速的確な処理など、
    本当に幅広く活躍されている。






    桐野

    ほんとに、ラボの皆さんには実験の助手から手術関連の補助はもちろん、
    医局全体のスケジュール管理までサポートしていただき、本当に助かってます。
    ありがとうございます!






    桐野

    あらら…そんなうれしいこと言ってくれて…。
    ありがとうございます!


    桐野

    私たちは先生方や医局の皆さんが仕事がしやすいよう
    サポートするのが仕事ですからね。


    桐野

    これからも遠慮なく!






    桐野

    ありがとうございます。






    桐野

    僕もよろしくお願いいたします!







    その時、背後に気配を感じた。




    桐野

    桐野くん!徳蔵さんは忙しいんだから、
    あまり迷惑かけちゃいけませんよ。






    桐野桐野

    ははは。






    桐野

    徳蔵さんをはじめラボの皆さんは、医局の潤滑な活動のために、
    いつも熱心に献身的に動いていただいて、本当にありがたいことです!
    私からもお礼を言わせてください。






    桐野

    そんな!江良井教授まで…。
    恐縮してしまいます…。






    桐野

    いやいや、先生方も医局員もみんな本当に感謝していますよ。






    桐野

    …すごくうれしいです…。






    桐野

    ラボの皆さんは、縁の下の力持ちなんですね。






    桐野

    そうだよ、毎日円滑に取り組めるのもみんなラボさんのおかげだよ!






    桐野

    なるほど…。







    桐野

    あっ!そういえばさっき…
    半田先生がすごい形相で桐野先生を探してましたよ。


    桐野

    なんか…カンファレンスの資料がまだ出てない!…とか…。







    桐野

    あっ!!!!!!!!
    半田先生にカンファレンス資料を提出するの忘れてた!






    桐野

    そんなことかな?と思って、
    桐野先生の机の上の『半田先生へ』と付箋がついた
    カンファレンス資料を渡しておきましたけど、余計なお世話でしたか?






    桐野

    あ、それです、それです!助かった…。
    本当にありがとうございます!






    桐野

    これは…徳蔵さんに助けられましたね…。






    桐野

    この借りは、ランチをご馳走するくらいじゃ足りないね。






    桐野

    ええ…はい…。






    桐野

    本当!?…じゃあ…
    今度近くにできたお寿司屋さんに連れってください!






    桐野

    えっ!あの…お品書きに時価って書いてあるお寿司屋さんですか!?
    せめて、お皿が回っているお寿司屋さんで勘弁してください…






    桐野

    冗談ですよ(笑)。
    私たちはその気持ちだけで十分なんです。







    桐野桐野

    ははははは








     医学の進歩を担う研究。そして、その研究を影で支えるラボの皆さん。
    新たな発見の裏には、それを影で支えている人たちがいる。

    医療の現場で大事なのはチーム全体のリレーションシップ。
    志だけでなく、現場を支えてくださっている人たちへの感謝の気持ちも忘れてはいけないのだ。
    徳蔵さんと話をして、改めてそう実感している。


    よし、僕もさらなる進歩を目指さなければ…!





    桐野

    あ、桐野くん、ちょうどよかった!
    カンファレンスの資料、徳蔵さんから受けとっておいたから。
    わかりやすいまとめられ方でなかなかよかったよ。


    桐野

    …だけど…今度は忘れないようにね。








    …僕の進歩はまだまだ認められそうにない…。







    ゲカイチフッタ

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