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    男心と秋の空




     今日はひさしぶりに同期との飲み会が開催される。

    集合時刻の18:30より早く、病院の近くにあるいつもの居酒屋に着くと、
    もうすでに一人先客が席に着いていた。



     

    桐野

    おつかれ!今日は珍しく早いね。





     
    桐野

    おっ、桐野!遅刻魔のお前が集合時間よりも早く来る方が珍しいよ!





     
    桐野

    今日は早番だから、ちょっと時間に余裕があってさ。




     







    同期の下原とは、大学の時からなんとなく馬が合い、よく二人で飲みに出かけたりしていた。
    研修医になってから二人とも忙しく、
    一緒に飲みに行く回数も減ってしまったが、
    こうして会うと自然とあの頃に戻ってしまう。






     

    桐野

    そっちは相変わらず忙しそうだね。





     
    桐野

    まぁ…そんなことないけどさ…
    それよりも、下原の方こそ忙しそうじゃん。




     
    桐野

    まあね。でも、毎日がすごく充実してる。






     

    ライバルであり、友達であり、同士でもある仲間のイキイキとした表情を見ると、なんだかうれしくなる。






     

    桐野

    ところで、桐野は専門科どうするか決めた?





     
    桐野

    うん。なんとなくは…。





     
    桐野

    お前は昔から外科志望だったもんな。





     
    桐野

    下原は?





     
    桐野

    おれも。なんとなくは決まっているけど…って感じかな。






     


     若手医師たちは、2年間の初期臨床研修の間に、
    将来の就職先として専門科を選定する必要があるのだが、
    なかなか決め切れない人が多いと、以前半田先生がなげいていた。






     

    桐野

    一生のことだから、迷いや不安はあるよね。





     
    桐野

    そうなんだよ。






     

    その時、ついたてを挟んだ隣の席から覗き込むような人影…。




     

    桐野

    今日は飲み会ですか?





     
    桐野桐野

    !!!!!!




     

    江良井教授の登場に、二人ともビールジョッキを倒しそうになりながら、
    あぐらをすばやく正座に直した。





     

    桐野

    あ。お。き、教授!おつかれさまです。
    教授もここで飲み会ですか?




     
    桐野

    そうなんですよ。
    今日はうちの看護師のみんなが集まるから、ぜひって誘われてね。




     
    桐野

    看護師さんとですか!




     

    下原がこづく。




     

    桐野

    あっ!教授。紹介が遅くなって申し訳ありません。
    同期の下原です。




     
    桐野

    あー、君が下原くん。
    担当の先生から桐野くんの同期に優秀な研修医がいる
    って話は聞いてますよ。





     
    桐野

    ありがとうございます。






     
    桐野

    で。ですね。桐野くんたちの会話が耳に入ってきたので、
    老婆心ながらちょっと言わせていただきますよ?





     
    桐野桐野

    はいっ!(汗)






     
    桐野

    君たちのような若い先生たちの気持ちも重々わかるのですが、
    専門科の選定はなるべく早い方が良いと思いますよ。





     
    桐野

    ですか。






     
    桐野

    願わくば…
    大学を卒業する医師国家試験取得の時期には 決めておき、
    その決めた科での必要事項を逆算して2年間の研修を受ける方が
    自分のためになると思います。





     
    桐野

    医師国家試験取得の時にですか…





     
    桐野

    例えばですが、最初から消化器外科に行くと決めていれば、
    その専門医取得に向け、関連する心臓血管外科や呼吸器外科、
    小児外科を回っても良いし、

     
    桐野

    消化器外科にとっても必要な知識を学べる
    麻酔科やICUを回っても良いと思います。






     
    桐野

    なるほど…。





     
    桐野

    逆に、研修医の時にしか学ぶことができないかもしれない
    皮膚科や漢方などの勉強をしても良いかもしれませんね。





     
    桐野

    研修医の時にしか学べないこと…ですか…






     
    桐野

    つまりは、自分の専門を決めた上で逆算して
    知識と技術を身につけることが、
    これからの医師として活躍するため、
    長い目で見て重要ではないのかなと思いますよ。





     
    桐野桐野

    はい!





     
    桐野

    研修を回って決める!という気持ちもわかります。
    自分の将来のことですから、慎重に決めたいですもんね。
    でも、将来の可能性を広げると思っているのかもしれませんが、
    逆にせばめてしまっているのかもしれませんね。






     
    桐野

    じゃあ、どうすれば良いのですか?






     
    桐野

    自分がどのような医師になりたいのか、
    具体的に考えることが大切だと思いますよ。





     
    桐野

    …というと?






     
    桐野

    そんなに難しく考えなくても良いんですよ。
    例えば、5年後に海外留学して10年後には専門医を取得して
    開業する!とか、この技術を必ず身につける!

     
    桐野

    …など、漠然とした目標ではなく、
    具体的な目標を掲げることが必要です。






     
    桐野

    具体的な目標ですか!






     
    桐野

    まっ、これは私の考えなのであまり気にせずに(笑)。
    まぁ、自分がどのような医師を目指すのかをしっかり考えれば、
    おのずと答えは出てくると思いますよ。






     
    桐野桐野

    ありがとうございます!!






     

    ちょうどその時、居酒屋の入口が開き、顔見知りの看護師の方々が入ってきた。





     

    桐野

    実は、なんだか楽しみで、早くきてしまったのです。(笑)

     
    桐野

    桐野くんと下原くんとも話できましたし!
    何事も早め早め。
    は大切ってことです!

     
    桐野

    はははは(笑)




     

     

    早め早め。…か…どんな医師を目指すのか…。
    なんとなく漠然と描いていた目標でははく、もっと具体的な目標を描こうと心に決めた。

    そう、きっと今からでも遅くはない。


     

    ゲカイチフッタ

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