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  • ショートストーリー「ゲカイチ」
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    未来の外科医たち



     今日のゲカイチには、学生服を着た高校生がたくさん集まっている。


     一人でも多くの高校生に、これからの医療を担う医師を志してほしい。
    という思いから開催されている年に一回のイベント
    「ブラックジャックセミナー」が開催されているからだった。




     
    桐野

    青春かぁ…。






     
    桐野

    青春がどうしたんですか。






     
    桐野

    あっ、江良井教授!
    いや、楽しそうな高校生たちを見ていたら、
    僕の高校時代のことを思い出しちゃいまして…。






     
    桐野

    昔を思い出すのはいいですが、
    今は田和先生のプレゼンテーション中ですよ(笑)






     
    桐野

    すみません…。











     高校生たちを前にした壇上には、若手女医のホープと言われている
    田和先生が自分の高校時代や医師になった理由、
    実際に医師になってからの体験談などを話されていた。







      

    桐野

    それにしても、最近の高校生たちは、
    本当にしっかりしていますね。
    田和先生のお話がとても参考になっているのは
    もちろんなんですが、 皆さん真剣に話を聞いていますね。







     
    桐野

    そうですね。僕もそう思いました。







    桐野

    これは…桐野くん…少し見習わなきゃダメですね(笑)。







    桐野

    あ…。……はい…。







    桐野

    ははは(笑)。冗談ですよ、冗談。










     

     

     田和先生によるミニレクチャを真剣な眼差しで聞いている姿を見ていると、
    江良井教授の冗談も的を得ているのかもしれないなんて思ってしまった。


     田和先生によるミニレクチャーが終了すると、 数人のグループに分かれ、
    実際の外科医の手技体験などがおこなえる手技的講習が始まった。










     

    桐野

    田和先生!高校生へのプレゼンテーション、
    とても素晴らしかったですよ。







    桐野

    ありがとうございます!
    私の話が高校生たちの参考になれば良いんですけど。







    桐野

    高校生たちも真剣な表情で田和先生のお話を聞いていたので、
    きっと参考になったと思いますよ。







    桐野

    ありがとう!
    桐野くんに言ってもらえると自信が持てるわ!

     









     田和先生は超音波凝固切開装置や電気メスなど、
    実際の手術でも使用する最新医療機器を使った手技体験を
    高校生たちにレクチャーする担当を受け持っている。

    第一線で活躍されている田和先生から直接教えてもらえるなんて、
    このセミナーに参加している高校生たちが本当にうらましい…







    桐野

    はい!それじゃ、準備できた人から
    臓器を切離するためのデバイスを使用して、
    生肉を切離する手技をやってもらいます!
    その前にまずはお手本を見せるので、よく見てね。

     






     

    田和先生の素晴らしい操作を目の当たりにして、
    高校生たちから歓声が湧き起こった。
    僕が操作をしているわけではないのに、なんだかとても誇らしい気持ち。




    田和先生の指導のもと、
    実際の手術の際にも着用する手術着やマスク・手袋を身につけた高校生たちが
    臓器を切離するためのデバイスを用いて生肉の切離をおこなう。
    電気メスを使用して生肉を切る際には、煙や切られる匂いも出るため、
    まるで本物の手術をおこなっているような臨場感を感じることができる。


     誰もがはじめての体験のため、緊張しているのがこちらにも伝わってくる。


    その初々しい姿を見ていると、
    初めてデバイスを使った手技練習をおこなった時の緊張感を思い出した。






    桐野

    見ているこっちが緊張しますね。







    桐野

    そうね。
    でも、みんな初めて操作した時は
    緊張したんじゃないかしら。






    桐野

    田和先生も緊張されたんですか?






    桐野

    もちろん!練習だってわかっていても緊張したわ。






    桐野

    そうなんですね。







    桐野

    でも、初めて手術を任された時は
    比べものにならないくらい緊張したわ。






    桐野

    その緊張をどうやって乗り越えたんですか?






    桐野

    今でも、どんな手術の前は緊張するわよ。
    だって、人の命に関わる仕事だから。
    でも、私は適度な緊張は必要だと思うの。


    桐野

    適度な緊張を保ちながらベストな手技をおこなうためには、
    やっぱりトレーニングの量しかないと思うわ。


    桐野

    『これだけ練習したんだから大丈夫!』っていう自信を持つ!


    桐野

    そのためには、何回も何回も一生懸命トレーニングする。


    桐野

    それしかないんじゃないかしら。








    桐野

    トレーニングあるのみ!ですね。







    桐野

    そう!桐野くんも何回もトレーニングしてほしい。







    桐野

    はい!


     









    …最新医療機器体験の後、手術シュミレーター体験や
    自動縫合器・吻合器体験、手術縫合・結紮体験などをおこない、
    大盛況のうちにブラックジャックセミナーは幕を閉じた。









    桐野

    田和先生!おつかれさまでした。







    桐野

    おつかれさまでした。
    桐野くんも貴重な休日なのにボランティアで参加してくれて、
    ありがとうね。







    桐野

    いえいえ、田和先生も医療スタッフの皆さんも
    休日返上で参加されていらしゃいますから。
    あっ!そういえば、参加した高校生たちが書いた
    感想文が出てましたよ。

     









     セミナーに参加した高校生たちの感想には

    「医学部受験のための勉強のモチベーションになった」
    とか
    「外科的手技に興味あります。自分は内科と思っていたが外科医になりたくなった」
    「経済学部に行こうと思っていたが、医学部に行きたくなった」


    など、うれしい感想が並んでいた。






    桐野

    教えるのって大変だけど、
    セミナーに参加した高校生が少しでも
    外科医という仕事に興味を持ってもらえたと思えると、
    セミナーに参加して良かったって思えるよね。







    桐野

    はい。








    桐野

    10年後、このセミナーに参加した高校生が
    外科医になって、ゲカイチで一緒に働けるようになれたら
    もっとうれしいわね。







    桐野

    ですね。







    桐野

    その頃には桐野くんも一人前の外科医になってるね。







    桐野

    …一人前…の外科医ですか。







    桐野

    ん?まだ先の話かな?







    桐野

    えぇ…







    桐野

    あははは…(笑)

     









    医師になりたいと思っていた頃の純粋な気持ち。
    日々の忙しさに追われ、その気持ちを忘れていたのかもしれない。


    『初心、忘るべからず』

    今回のブラックジャックセミナーにアシスタントスタッフとして参加して、
    高校生たちから大切なことを思い出させてもらった気がする。


    このセミナーに参加した高校生の中から外科医が誕生し、
    ゲカイチで一緒に働けることができたら!

    その時、未来の外科医たちから頼られる外科医の先輩でいられるよう、
    僕ももっともっと知識と技術を磨かなくちゃいけない。そう改めて気を引き締める。



    そうだ!『外科医になりたいと思った時のエピソード』。
    今のうちに用意しておこうかな。






    ゲカイチフッタ

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