• TOP >
  • ショートストーリー「ゲカイチ」
  •  ゲカイチヘッダ
    ゲカイチ休息事情


     ゴールデンウィーク明けからひさしぶりの休日。
    昨日から降り続いた雨も昼過ぎにやっと上がり、晴れ間が見えてきた。
    運動不足解消に、近所にあるスポーツジムの体験プログラムに参加しようと自転車を走らせる。


    はじめての場所は緊張する…。
    ドキドキを隠しながらスポーツジムに入ろうとした時、背後から聞き覚えのある声。




     
    桐野

    あれ!?桐野くん?





     
    桐野

    あっ!南田先生!おつかれさまです。
    南田先生も、このジムに通われているんですか?




     
    桐野

    そうだよ!外科医は体力勝負だからね。
    桐野くんもメンバー?






    南田先生は入局して一年。外科医命!のパワフルな先生だ。
    『外科医は筋肉!』をポリシーとする南田先生はオペの時の体力づくりのために
    日頃からジム通いをしていると聞いてはいたが、まさかここだとは…



      

    桐野

    最近運動不足なので、ジムでもと思ってまして…。
    このジムに入会している知り合いから体験プログラムがあるって聞いていたので、ちょっと見学も兼ねて。






     
    桐野

    へぇー、そうなんだ。


     


     

    南田先生に出会い、さっきまでの緊張が解けた。
    南田先生は慣れた手つきでジムの中に入っていく。このスマートさ。
    女性にモテる秘訣なのだ。と勝手に解釈している。





     
    桐野

    桐野くん。じゃあ、後でね。






     
       


    南田先生と別れた後、受付で体験プログラム参加の記入をする。
    僕を担当してくださるインストラクターの方は、南田先生の担当もされていたらしく、
    とても丁寧に説明してくださった。


    ロッカーで着替えを済ませ、体験トレーニング。
    軽めのメニュー。と言われたが、トレーニング早々から息が上がってしまった。

    日頃の運動不足を痛感しながら、周りを見渡すと
    ランニングマシーンを颯爽と走る南田先生が見えた。
    この爽やかさも女性にモテる秘訣なのかもしれない。
    たぶん…。



    ひと通りのトレーニングメニューは終了。
    シャワールームから腰にタオルを巻いたままロッカールームで心地よい疲れに満たされていた時、
    トレーニングを終えた南田先生が入ってきた。





     

    桐野 桐野くん、どうだった?



     
    桐野

    いや、もっと動けると思っていたんですけど、
    イメージと現実のギャップが…凄すぎました。






     
    桐野

    はははは(笑)。みんな、初めはそうだよね。
    日頃からトレーニングしていないとね。
    外科のスキルと一緒だよ。



     
    桐野

    えぇ…。日頃のトレーニングが大切って痛感しました。
    でも、南田先生はとてもお忙しいのに、
    よく通われていますね。




     
    桐野

    外科医って仕事は、緊張の連続だから
    リフレッシュする時間が必要だと思うんだ。



    桐野

    ゲカイチは当直との兼ね合いもあるから
    必ずっていう訳じゃないけど、
    夏は1週間の休暇もとれるしね。





     
    桐野

    なるほど。

     



     
    桐野 他の先生方も、国内や海外に旅行に行かれる方や
    好きな本をずっと読んでいる方もおられるしね!
    普段ではなかなかできないことに時間を当てている方が多いんじゃないかな。




     
    桐野

    南田先生はどこかに行かれるんですか?





     
    桐野 そうだね。僕の場合はジムに行ったり、
    普段書きそびれていた論文を書いたりしていることが多いかな。




     
    桐野 お休みにですか?!
     



     
    桐野

    そうだよ。
    そうそう、森熊先生は休みの期間を利用して、
    手術見学に行ってきたって以前聞いたことがあるよ。




     
    桐野 皆さん、すごいですね!




     
    桐野 まぁ、自分の休みだし…
    その休みをどう活用するかは自分次第だからね。
    桐野 気分がよければそれでOK!




     


    なるほどな…。と思いながら、南田先生の車で一回研究室に帰ることにする。

    駐車場で僕らの車の横にとまったのは教授の車だった。






     
    桐野

    桐野くん?桐野くんじゃないですか!
    南田先生と一緒とは珍しい組み合わせですね。




     
    桐野

    おつかれさまです、教授もジムからですか?




     
    桐野 ちょっとね。会議があるので軽めのトレーニングです。
    南田先生、いつも精が出ますね。



     
    桐野

    教授には負けますよ。




     
    桐野

    ???






     
     

    いつも通りの南田先生を見る限り、
    江良井教授と南田先生はジムでよく顔を合わせているんだろう。






    桐野

    桐野くんも南田先生とジム通いですか?




     
    桐野

    いや…日頃の運動不足を解消するために体験プログラムに…。




     
    桐野 そうですか。外科医は身体が資本ですから、
    常に意識を高くもっておくことは良いことです。



     
    桐野

    ですね





    桐野

    そういえば、そろそろ休みのシフトを考えないとですね。





    桐野

    はい。





    桐野

    桐野くん、お休みの日も常に医療のことを考えていますか?





    桐野

    は…はい。





    桐野

    はははは(笑)。論文を書いたり、
    追加の実験をするのも自由。
    ゆっくりリフレッシュするのも自由!


    桐野

    楽しくなればそれでOK!





    桐野

    え、えぇ…そうみたいですね。







    桐野

    皆さんはいいですよ…。
    私なんて年中無休。
    年末年始も夏休みもなかなか…





    桐野

    そ、そうなんですか。






    桐野

    教授も結構大変なんですよ(笑)






    桐野

    なんだか…すみません。






    桐野

    あっ!そういえば、桐野くんが
    今度の休みに教授のオペを見学させていただきたいっ
    て言ってましたよ!





    桐野

    (そんなこと一言も言ってないけど…)






     
     

    南田先生、ニヤリとしている。






    桐野

    そうですか!いい心がけです。
    桐野くんも勉強でリフレッシュ派ですか!
    ぜひ見学にいらっしゃい。




     
    桐野

    は、はい。ありがとうございます…






    南田先生の親心なのか、それとも南田先生にうまく嵌められたのか…。
    でも、せっかくの休みを寝て過ごしてしまうより、
    江良井教授のオペを見学させていただく方が、外科医として進む上では必ず力になる。


    「休みをどう活用するかは自分次第!」
    ほんの数分前に南田先生から言われたことを、
    心の中で呪文のように何度も繰り返した。





    ゲカイチフッタ

<< 前のショートストーリー   次のショートストーリー >>

TEL 099-275-5361 FAX 099-265-7426
〒890-8520 鹿児島市桜ヶ丘八丁目35-1

Copyright (c) 2019 Department of surgical oncology kagoshima university graduate school

TEL 099-275-5361 FAX 099-265-7426
鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科 腫瘍学講座 医局長:蔵原 弘 〒890-8520 鹿児島市桜ヶ丘八丁目35-1