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  • ショートストーリー「ゲカイチ」
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    理想を現実に(後編)


     
     

     最初からその場に居たのにも関わらず、まったく気付かれずに会話が進み。
    途中で、「いつからいたの?」と聞かれて、人知れずささやかな恥をかき、
    そして数秒後にまた放置されることがこんなにも寂しいなんて…。
     この状況の中、僕が出来ることと言えば、
    相 変わらず空になったカップに珈琲をいれることくらいだ。



     
     

    桐野

    制度については行政レベルでサポートして欲しいんです!
    専門家による支援を行っていく仕組みも必要だと思うし、



     
    桐野

    家庭との両立を支援すると同時に、
    仕事は仕事として公平な評価をすることが必要です!





     




    女性同士、熱の入った会話はまだ続きそうだ。


     




      

    桐野 ワークシェアリングや、女性医師の環境、待遇。
    出産や育児休業の取得は、
    正直まだまだ不徹底な面もあるものね。



     
    桐野 です!産休から戻ってきて頑張っている人が、フェアに評価されて、
    相応の処遇を受けられる…
    そんなルールみたいなものが必要ですよね!
     
    桐野 例えば…乳児でも預けられる院内保育も重宝されるし、
    家族のサポートも大事。
     
    桐野 ですよね!!



     
    桐野 う、うん。それに…看護師不足が問題になったりしているけれど、
    国家資格を受ける人数が減っているわけではなくて、
    実際には有資格者が復職できる環境が整っていない事が
    原因の一つと言われているの。
     
    桐野 国家資格を持っていながら、
    仕事に就けていない方が50万人以上もいるとされている…
    これも現状ね。



     
    桐野 職場復帰のための支援システムは、もっと使われるべきだし、
    もっとしっかりと構築されるべきです!!

    そうすれば…



     
    桐野 子育てや介護などがあってもリカバリーできるし、
    努力すればステップアップできる…よね。



     
    桐野 です!です!

    それができれば、女性外科医だけでなく
    現場のモチベーションも維持しやすくなる!!
     
    桐野 いいこと尽くめじゃないですか!!




     

    オープンしたばかりのカフェということもあって、店内は女性のお客さんがほとんどで。 
    なんだか店内に居る全ての女性がこのテーブルの会話に耳を傾けているような気もして。

    それと同時に、ひょっとすると今の時代、医療だけに限らず、
    どこの業界にも同じことが言えるのかもしれない。

    なんて置き去りにされながら考えている…。



     

    桐野 女性医師の働きやすさは病院によってかなり違うから、
    情報収集が大事ね。
     
    桐野 働きやすい病院に女性医師が集まることで、
    他の病院も環境を整えるようになっていくかもしれないしね。



     
    桐野 あとは…子どもを育てながら、

    しかも自分のやりたい道を歩んでいる先輩たちと
    積極的にコンタクトを取ってみることかな?



     
    桐野 そう、今みたいにですよね! 
    女性医師が働きやすい環境は、
    男性医師にとっても働きやすい環境だと思うんですよ! 
    病気で休めるか、当直明けには早く帰れるか、とか。
     
    桐野 何も女性だけに限った問題じゃないんですから!!



     
    桐野 …そりゃあ完璧とまではいかないけど改善されているのよ。
    復職・再研修…鹿児島県医師会でも女性医師が
    モチベーションを高く持ちながら、
    女性らしく、医師としての責任を果たせるように応援しているのよ。
     
    桐野 ほらここ見てみて。

    >>鹿児島県医師会 女性医師支援室


     
    桐野 それに病院だけじゃなくて自分自身での環境づくりも大事だね。 
    現実的な話。子育ては、家族、特にお母さん、
    つまりおばあちゃんのサポートも心強いものだからね。


     
    桐野 ええ、そうね。
    ・・・というわけで、ゲカイチのシフト案なんだけど…


     


     女性三人の、マシンガンのような会話のキャッチボールに僕が入る隙は当然あるわけもなく。
    うなずきながら3人の空いたカップにお変わり自由のコーヒーを注ぐことくらいしか
    存在価値はない。




     
    桐野 これからも、
    「できる」仕事より「本当にやりたい」仕事を選んでほしいわ。
     
    桐野 新しい仕事や責任あるポストのオファーがきたら、
    福田先生も、進んで受けてね。



     
    桐野 まぁ、私は…その時が来れば…ですよ



     
    桐野 そういえば…以前、女子学生に一度、
    『あなたが外科を選ぶとして障害はなんですか?』
    というアンケートを取ったことがあるんだけど…
     
    桐野 一番多かった答えは意外に…
    『結婚・出産・育児』ではなく『体力』だったの。
     
    桐野 体力は外科に特化したことでなく、医師全体で必要じゃない?
    私、そのアンケート結果を見てね…
     
    桐野 なら医学部に入学する女性は全員 体力アップを図っておきなさい!
    って思ったし、
     
    桐野 手術は立ちっぱなしで大変と思われるかもしれないけど、
    わかりながらやる手術は、そんなに大変じゃなかったりするのよ。



     
    桐野 なにはともあれ、
    女性医師の職場環境改善には上司の意識改革も重要ね。
    たしかに外科は3K現場だったというイメージもあるけど、
     
    桐野 そういう場ではない!
    という環境つくりとそのアピールも大事なのよ。



     
    桐野 ね! 桐野君



     
    桐野 …あ、そーだった。
    桐野くんいるの、すっかり忘れてた。最近、どう?
    頑張ってる?




     
    桐野 ん? 桐野君
    どうしてここにいるんだっけ?


     
    桐野 あ、桐野くん。珈琲、またお替わりいれて。


         
     


     

    …今すぐに活躍できない僕みたいな人間にも大事な役割りを与える…。
    これも女性ならではのセンス…なのか?

    とりあえず、今日の集まりは君はこれからの私たち、女性の活躍を見ておきなさい。
    という無言のメッセージにも思えた(笑)。


    んん…そういえば、女性の社会進出と共に、男性の家庭進出の傾向も増していると聞く。
    これは決して女性だけの問題ではないのだ。

    う〜ん、なぜだか半田先生の声が聞きたくてたまらない。
    カフェを出たらすぐに電話して、何でもいいから話をしたい。

    これからは、“本当の女性の時代”。というのも言い過ぎではない気もする。

    半田先生…これから僕らに出来ることは何なのでしょうか…?
    いや、僕に出来ることはまだいっぱいある。…ありますよね。先生。

    女性だって、格好良くて、逞しい。そんな当たり前のことにいつも触れられる。
    なんていい環境なんだ。ゲカイチ。
    …と考えてみる。

    引き続き、空いたカップに珈琲を注ぎながら…。





     

    ゲカイチフッタ

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