臨床・研究・教育については先述の通り、この教室は全国から一目置かれているほどに成熟していますので、新参者の私に合わせるよりは、私がこのスタイルに合わせるのが時間や労力を鑑みてもよいであろうと思っています。
外科志望者が全国的にも減少してきている中での働き方改革の順守、依然不透明な新専門医制度への対応、ハラスメント防止の強化等々、今後変えていかなければならい点は随所に出てくると思いますが、少しずつ臨機応変に対応していこうと考えています。
要は私を“裸の王様”にしないでください、ということです。
どの組織にも潜在的にこういった状況に陥るリスクはあり、これが現実のものになると組織の大きなストレスとなり、最終的には患者さんに迷惑がかかることになります。
これを回避するには日頃のコミュニケーションと、どんな諫言にも耳を傾ける度量が必要となりますが、これは私自身も試されることになります。知らせるためには直談判、これが苦手な場合にはメール、それもしかねる場合には上申できる同僚・先輩に依頼する間接的方法等々、あらゆる手段を駆使してほしいと思います。
早い段階での修正であれば世間話の中の提案程度で済む話が、一度動き出した後では周りは言いにくく、私は引込みがつかないことにもなりかねません。相談の相手と情報提供は各方面にお願いしたいと思っています。
外科医の教育法でよく引き合いに出される山本五十六の
「やってみせ 言って聞かせて させてみせ ほめてやらねば 人は動かじ」
にも一理はあるのですが、私はもっと根本的に教育の重要性を訴える、山本と同じ越後長岡藩の小林虎三郎の「米百俵」の精神性に強い共感を覚えます。
教育こそが国を富ませるための最重要事項で、教育を行うことが上の者の義務である、ということです。
これは外科教室にも当てはめることができます。
薩摩には古くは「郷中教育」があり、薩摩スチューデントを英国留学に送り出すなど伝統的に教育の重要性を認識している土地柄で、それは現在まで脈々と受け継がれ、文化遺産として現在の教育にも大きな役割を果たしています。
加えて桜島、霧島、指宿、屋久島、奄美等々多くの自然遺産もあり、情緒や感性を磨く上でも教育に最適な環境が整っています。
若者がやりがいを持って楽しく仕事をする環境は組織の活性化には必須の要件で、それを見た後輩が憧れをもって活躍の場を求めてくるのが理想的であり、これを実践していきたいと考えています。
当教室にない知識、技術を求めての若者の国内外への留学も可能な限り支援しますが、必ず鹿児島へ戻って後進に還元することも併せて考えてもらいたいと思います。
薩摩は江戸260年間常に幕府の仮想敵国でありました。
これは薩摩の結束力の強さと気高い精神性を恐れてのことで、これを現代版に置き換えて良い意味で「鹿児島大学第一外科恐るべし」を実践し、国内外に情報を発信していければと考えています。
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