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     2020年4月付で教授職を拝命しました大塚隆生です。
     1988年に加治木高校を卒業して以来32年ぶりに鹿児島へ戻ってまいりました。
     鹿児島県の外科医療の充実と人材育成に持てる力のすべてを注ぐ所存ですので、同門の先生方、関連施設の先生方、教室員の方々にはご指導とご支援を賜りますよう何卒よろしくお願い申し上げます。
     赴任直後の巻頭言となりますので、私が現在思案していることと抱負について述べさせていただきます。

     まず夏越祥次先生におかれましては長きわたり卓越した探求心と指導力で教室を牽引され、このたび定年ご退官を迎えられましたことに心よりお祝い申し上げますとともに、全国から一目置かれる教室へと育て上げられたご尽力に心から敬意を表します。夏越先生が築いてこられたこの大きな教室の力を落とすことなく、さらに発展させるべく努力する所存ですので、大所高所からのご指導を引き続きよろしくお願い申し上げます。
     教室五訓である、一. 人格を磨く、一. 医道を極める、一. 社会に貢献する、一. 後進を育成する、一. 組織力を高める、は社会人・医療人として必要なエキスが詰まった時代を超えて通用する内容ですので、このまま引き継がせていただければと考えております。

     ちょうど新型コロナウイルス感染が日本で爆発的に広がっていく最中での赴任でしたが、私が緊急事態宣言発令都市からの赴任であったため、早々に14日間の自宅待機を命ぜられました。
     感染拡大は油断と自覚の欠如によるところも大きく、その一方で未明のうちに大げさに見える予防対策を講じることには勇気も必要です。まだ鹿児島での感染者が少なかった時点ではありましたが、大学の自宅待機命令は賢明な判断であったと思っています。
     これまで幾度となく人類は大きな試練に挑んできましたが、その都度英知の限りを尽くして乗り越えてきています。
     今は早く世界的流行が終息することを祈るばかりであります。



    赴任に際し教室員には以下の3つのことをお願いしました。

    1.大きく変わることなくこれまで通り臨床・研究・教育を粛々と進めること。

    2.私が間違った方向を向いている時は必ず知らせてほしいこと。

    3.今後の目指す方向性(人材育成と情報発信)への理解。
       臨床・研究・教育については先述の通り、この教室は全国から一目置かれているほどに成熟していますので、新参者の私に合わせるよりは、私がこのスタイルに合わせるのが時間や労力を鑑みてもよいであろうと思っています。
       外科志望者が全国的にも減少してきている中での働き方改革の順守、依然不透明な新専門医制度への対応、ハラスメント防止の強化等々、今後変えていかなければならい点は随所に出てくると思いますが、少しずつ臨機応変に対応していこうと考えています。

       要は私を“裸の王様”にしないでください、ということです。
       どの組織にも潜在的にこういった状況に陥るリスクはあり、これが現実のものになると組織の大きなストレスとなり、最終的には患者さんに迷惑がかかることになります。
       これを回避するには日頃のコミュニケーションと、どんな諫言にも耳を傾ける度量が必要となりますが、これは私自身も試されることになります。知らせるためには直談判、これが苦手な場合にはメール、それもしかねる場合には上申できる同僚・先輩に依頼する間接的方法等々、あらゆる手段を駆使してほしいと思います。
       早い段階での修正であれば世間話の中の提案程度で済む話が、一度動き出した後では周りは言いにくく、私は引込みがつかないことにもなりかねません。相談の相手と情報提供は各方面にお願いしたいと思っています。

       外科医の教育法でよく引き合いに出される山本五十六の
      「やってみせ 言って聞かせて させてみせ ほめてやらねば 人は動かじ」
      にも一理はあるのですが、私はもっと根本的に教育の重要性を訴える、山本と同じ越後長岡藩の小林虎三郎の「米百俵」の精神性に強い共感を覚えます。
       教育こそが国を富ませるための最重要事項で、教育を行うことが上の者の義務である、ということです。
      これは外科教室にも当てはめることができます。
       薩摩には古くは「郷中教育」があり、薩摩スチューデントを英国留学に送り出すなど伝統的に教育の重要性を認識している土地柄で、それは現在まで脈々と受け継がれ、文化遺産として現在の教育にも大きな役割を果たしています。
       加えて桜島、霧島、指宿、屋久島、奄美等々多くの自然遺産もあり、情緒や感性を磨く上でも教育に最適な環境が整っています。
       若者がやりがいを持って楽しく仕事をする環境は組織の活性化には必須の要件で、それを見た後輩が憧れをもって活躍の場を求めてくるのが理想的であり、これを実践していきたいと考えています。
       当教室にない知識、技術を求めての若者の国内外への留学も可能な限り支援しますが、必ず鹿児島へ戻って後進に還元することも併せて考えてもらいたいと思います。
       薩摩は江戸260年間常に幕府の仮想敵国でありました。
       これは薩摩の結束力の強さと気高い精神性を恐れてのことで、これを現代版に置き換えて良い意味で「鹿児島大学第一外科恐るべし」を実践し、国内外に情報を発信していければと考えています。


     教室は今年開講77周年で、「春夏秋冬」の冬、成熟と次代への伝承の時期に入りました。
    先述の通り次世代に繋げるためには若い外科医を増やし育成していくことが課題であり、そのためにはいかなる努力も惜しまない心づもりでおります。
     関係の皆様にもご自身の発展とともに、これからの人のためになるかの判断基準も持ち合わせて日々健やかに過ごしていただければと心より願っております。




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