鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科 先進治療科学専攻 外科学講座 消化器外科学
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ゲカイチ

Vol.85

ー 単身赴任 ー









 

う〜ん…やる気が…出ない…








 季節がわりの雨も収まり、冬の匂いが少しずつ近づいてきた。

 とは言え、まだまだ暖かい日が続く。
今日みたいにポカポカ晴れた日には、もっとやる気が出てもいいはずなのに、
なんだか、もやもやする…。  








桐野くん、珍しく元気がないね…







川口先生、桐野くんは新型コロナのせいで
最近コンパができてないから、
やる気が出ないんですよ。ね!







え、あ…はい。







若いっていいね。悩めよ若人(笑)







葉坂先生、僕だって悩んでるよ…。







おや、東川先生、
どうしたの?







もうすぐ、子供が小学生になるから、
そろそろ家を建てようと思ってるんだけど、
どこに建てようか悩んでるんだよね…







いいじゃない!おめでとう!







そう簡単な話でもないんだよ…。
今は市内の勤務だから、街中に住む方が便利だけど…

今後、地方に出張になった時、通いやすいように
高速のインターの近くに住んだ方がいいかなぁ。って…







そういえば、葉坂先生は、最近家を建てたんですよね。







うん、そうなんだ。
平日は勤務先の宿舎に行っているけど、
週末は帰ってきているよ。







なるほど。子供の教育環境を考えると、
地域医療を行う僕たちみたいな医者は市内に住んで、
必要に応じて単身で現場に向かう。
というのも、家族の形の一つなのかもしれないね。







うん。
もちろん家族にとっては一緒に住めるのが一番だけど、
県内の医療を支えるためには、
こういうスタイルもしばらくありかな。と。







一般的にはあまりイメージがないけど、
医者は意外と転勤族だからね…










 

 都市のように、複数の大学病院がある地域と違って、
地方では、基本的に1県に1つの医大しかない地域が多い。
 そのようなエリアにある病院では、病院独自に常勤勤務医を獲得するより、
大学の医局から定期的に勤務医を派遣する方が、安定した労働力を確保することができる。


 とはいえ勤務先の環境によっては、
人手が足りなくて学会に参加しにくい、勉強になる症例が少ない。など、
医局から派遣される医者にとって厳しい条件もあり、派遣先で長期間勤務することは難しい。
 したがって、短期間で医者を派遣することになり、自然と転勤が多くなる。
というわけだ。






 

地域医療を支える医者の宿命だね…。
留学していた尾口先生ならどう思う?







そうですね…。
派遣じゃないけど、他のパターンもありますよ。

地方の医局に勤めていても、各々専門とする分野で、
国内で先進的な医療をしている病院、海外の研究所で勉強したい先生のために、
数年間の勉強期間をもらえる制度、『国内外留学』。

 アメリカの『MDアンダーソンがんセンター』や
『カンザス大学メディカルセンター』…
最先端のがん研究が学べるラボに留学するチャンスがある。

『自分の研究を極めるために』って
家族と離れて留学する先生もいるみたいだよ。







…いろいろなスタイルがあるんですね…







一般的に、医師が一通りの知識と技術を身につけるには、
最低でも10年はかかるといわれています…。







!…半田先生…

…単身赴任とはいえ、医者にとってはそう嘆くものでもありませんよ。
たしかに大学病院で大勢の優秀な医師がいる中で、
数十万人に一人の疾患を治療したり、先進医療を学ぶことは確かに必要です。

 反対に、地域にその科の医師がわずか数人という環境で、
医療を支える、という経験も必要です。

 かぜ、腹痛、発熱、下痢、アレルギー症状など、
たくさんのよくある疾患の中から、
見逃してはいけないめずらしい疾患を見つける観察眼も、
地方でなければ鍛えられません。

つまり…
地域医療への派遣は一人前の医師になるために、
たくさんの経験ができる貴重な経験なんです。







僕が留学してたところでは…
逆に、子供の教育のために家族だけ海外に引っ越して、
現地の幼稚園や小学校に通わせて、
夫は自国で働いて研究を続けているという人もいましたよ。







子供によりよい教育を受けさせるため…







家族の生活を支えるため…







地域の医療を支えるため…







どこの国でも、父親は頑張らないといけないんだなぁ…







そのとおり!父親は一家の大黒柱。
どこでもがんばっているんですよ!







……教授!







教授、母親だってがんばっていますよ!







あ、永井先生。
これは失礼しました(笑)







たしかに、子育て期間中の間は、
勤務体系の調整などで男性医師に
地域医療への派遣が増える部分はありますが、
女性医師だって、地域医療に志願する先生は多いらしいですよ。







そうですね。流通環境が発達した今、
住み慣れた地域で暮らし続けたい患者さんは多くなりました。
さらに高齢化が進んだ地域ではその傾向はさらに強くなりますから、
医師の地域医療の派遣はこれからも必要です。







地域から必要とされる外科医を育てることは、
大事な要素ですからね。







その通り。
もちろん、医療の持続性を確保するために集約化も大事ですが、
患者さんのために、医者自身のために、
地域で働く外科医という存在はとても大事です。

 家族と離れることは辛いですが、
『なんのために医者になったのか』初心にかえって明確なビジョンを持つことで、
自身にとっても満足のいく結果につながります。
これからも皆さんの活躍を期待していますよ。







はい!








…単身赴任か…
今から考えるとちょっと不安だなぁ…






その前に桐野くんは、パートナーを見つけないとね(笑)











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