鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科 先進治療科学専攻 外科学講座 消化器外科学
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ゲカイチ

Vol.51

ー 町のお医者さん ー




 最近の休日はもっぱら、録画していた医療ドラマばかり見ている。

昨日の夜、なんとなしに見ていたドラマでは、都会の大病院で活躍する凄腕の外科医が難しい手術を見事に成功させていた。



桐野

…やっぱり都会で活躍する外科医。ってカッコイイなぁ。






桐野

おっ!桐野くん。ひさしぶり!










  僕が憧れる先輩の一人・大川先生が声をかけてくれた。
大川先生は離島・へき地医療に携わる医師として、現在も奄美大島で活躍されている。(Vol.10・11参照)







桐野

あっ!大川先生、お久しぶりです。いつこっちに戻られたんですか?






桐野

さっきまでこっちで研修があってね。
ところで、ぼーっとしてたけど、何か考え事?






桐野

いや…なんか…最近医療ドラマにはまってしまって…。
世界で活躍するような医師を目指すなら、
やっぱり都会で頑張った方が良いのかなぁなんてぼんやり考えてました。






桐野

世界!桐野くんも大きく出たね(笑)






桐野

いや、ははは(苦笑)。世界はちょっと言い過ぎかもしれませんけど…






桐野

いやいや、目標は大きい方がいいよ!






桐野

そうですよね!






桐野

都会の大きな大学病院なら様々な症例や難しい手術に
立ち会える可能性はあるかもしれない。
でも、都会で頑張るだけが医師として成長するわけじゃないと思うけどね。






桐野

そうなんですか。






桐野

都会には都会の良さはあるけれど、地域には地域なりの良さがあり、
同じ医療でも経験できることは色々あるよ!
地域医療に魅力を感じて都会の大学病院を出てからゲカイチに入り直し、
今は地域の医療を支えている先生もたくさんいらっしゃるしね。






桐野

そうですね。
そういえば、この前奄美大島から
ゲカイチに帰ってこられた先生方がいらっしゃいましたよね?






桐野

橋目先生と高島先生のことかな?






桐野

そうです。そうです。






桐野

二人なら、さっきの研修で一緒だったから近くにいるかも…。


桐野

あっ、いたいた!








 大川先生の手招きにより、三人の先生がこちらにやってきた。







桐野桐野桐野

研修、おつかれさまでした。






桐野

おつかれさま!
そうそう、こっちが前から話題に上がっていた桐野くん。






桐野

君が桐野くんかぁ!初めまして。






桐野

なるほどねー。






桐野

初めまして、研修医の桐野です。





桐野

大川先生からいろいろ聞いてるよ。






桐野

え。先生はなんて?!






桐野桐野

まぁ、いろいろ…。ね。(笑)






桐野

まぁまぁ。そんなことより…
伊口先生たちはは以前から救急をやりたいという高い志を持っている先生で…。






桐野

よろしくお願いします。






桐野

橋目先生はもともと徳之島出身で将来は地元での開業を考えているみたい。
そのための修行として外科的手技を身につけるために
外科を選んだって言ってたね。






桐野

はい。






桐野

徳之島でしたら、奄美大島の近くですね。






桐野

そう。だから、たまに病院で地元の知り合いに会うこともあったんだよ。






桐野

そうなんですか?






桐野

そうそう、ゲカイチの関連病院は県内全域にあるから、
離島医療だけではなく
自分の出身地の関連病院で働かれていた先生も多いんじゃないかな。






桐野

へぇー...






桐野

そう言えば、半田先生もそうなんじゃないかな?







 『噂をすれば影がさす』。まさに、そのことわざ通り、後ろから半田先生が声をかけてきた。





半田

…桐野くん、また私の噂をしてましたね。






桐野

桐野くんと地域医療について話をしていた時に
半田先生のお名前をあげさせていただいたんです。
それにしても、桐野くんの慌てっぷりは見事だね(笑)






半田

そうなんですか(笑)。
また、桐野くんが私への愚痴をこぼしていたのかと思いましたよ(笑)。






桐野

そんな(泣)。半田先生への愚痴なんて言ってませんよ!






半田

ははははは(笑)。
冗談ですよ、冗談。本当に桐野くんはからかい甲斐がありますね。






桐野

ところで、半田先生もご自分の地元の関連病院で
働かれていたことがありましたよね?






半田

ええ、もう何年前ですかね…。
ゲカイチは離島を含む県内全域に関連病院がありますので、
ほとんどの医師が一度は関連病院に出向しますからね…。






桐野

そうなんですか。






半田

私はご縁があったのか、私の地元の関連病院でしたね。
その時は友達の親戚や兄弟の知り合いの人、
昔から知っている実家のご近所さんを担当することもありましたね。






桐野

知り合いの方を診られるんですね!






半田

時々、中学校の同級生が外来に来ることもあり、お互いびっくりしたよ。
中でも検診している時に、小学校の時の同級生のお母さんがいらっしゃって…。


半田

『立派になったね!』って言われた時は小恥ずかしかったね。







桐野桐野桐野桐野

ははははは。







半田

でも、子どもの時から知っている自分の身近な人たちはもちろん、
地元のおじいちゃんやおばあちゃんの健康を支えることが自分たちの仕事。
って考えると、やりがいはすごくあったね…






桐野

なるほど。






半田

外来での会話でも、おじいちゃんおばあちゃんの気持ちになって、
地元の言葉で話してみたり、地域で行われた行事などを外来での会話に盛り込んだり…。
そうそう、地域のイベントに職場のチームで出ることになったり。
とても楽しかったし、みんなのチームワークを高めるきっかけにもなったね。






桐野

川口先生も何か面白いイベントがあったんですか?






桐野

僕の時はね、船こぎ競争って言う、数人で舟に乗って漕ぐレースに
同じ病院の有志と出場した思い出があるよ!
レース終わりのビールは最高に美味しかったな。






桐野

…なんか楽しそうです。






半田

地域の方々の関わり合いや信頼関係など、地域医療に携わるってことは、
都会の病院では経験することができないかもしれませんね。






桐野

地域医療に携わるって、いろんなことがあるんですね。






桐野

でも、それに伴い医師としての責任はとても大きくなるね。






桐野

そうですね。都会の病院では専門性が重要視されますが、
地域では逆に何でもできる医師が必要とされる部分もありますからね。






桐野

そうそう。外科だからと言って手術だけをしていれば良いわけではなく、
内科的な要素、検査、治療も含め活躍できる範囲が広い!






桐野

…なるほど…






半田

そうですよ。一つのことに視野を取られていてはダメです!
幅広い知識と技術を身につけ、
様々な症例に対して柔軟に対応できるようになることが必要ですね。






桐野

まさしく!その経験が今の自分の力になっているって実感しますね。










 都会の病院では積むことができない経験…







桐野

あっ!桐野くん。…前!







 話しながら歩いていたら、研究室のドアにぶつかってしまった。いつもなら開いているはずなんだけど…。








桐野

イッテ!






桐野

広い視野を身につける前に、まずは注意力を身につけなきゃ。






半田

大川先生…うまい。








 …たしかに(泣)。

「広い視野で医療に携わることができる地域医療」…か…。
僕はまだまだ学ぶことがいっぱいだな。
おでこがちょっと痛いけど、なんだかちょっとワクワクした気分だ。






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