鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科 先進治療科学専攻 外科学講座 消化器外科学
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ゲカイチでは他県で外科医として活躍され、鹿児島へ戻ろうと考えられている先生方に、留学や博士号などのご要望について、医局長が直接ご相談にのっています。
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巻頭言

巻頭言



  2019年を振り返りますと,海外ではアメリカとロシア,中国の不仲が取りざたされました.
隣国の韓国あるいは北朝鮮と日本の状況も決して楽観できず,平和な状態に早く落ち着いてほしいものです.
  国内では2月の北陸の記録的豪雪,6月の大阪北部地震,7月の西日本集中豪雨,9月の北海道胆振北部地震,多くの台風発生と上陸など災害が多く発生した年でした.
  一方で,将棋,卓球,テニス,フィギュアスケートなど若い人の活躍が目立った年でもありました.
医学の分野では本庶先生がノーベル医学生理学賞を受賞されるという明るいニュースがありました.


  さて,教室関連の出来事では,4月に女性3名,男性4名の7名の新入医局員を迎えました.
外観や飲酒量の違いなど多様性に富んでおり,今後の活躍が期待されます.先輩の先生方,関連病院の先生方は暖かく指導していただければと思います.

  4月21日には恒例になりました外科4科の拡大外科同門会を開催いたしました.
今後4外科の診療科が団結して,多くの若手外科医を増やすことにより,鹿児島の地域医療を支えていければと思います.

  7月11,12,13日に第73回日本消化器外科学会を鹿児島で開催させていただきました.
鹿児島は明治維新150周年であり,大河ドラマ「西郷どん」が放映され,大いに盛り上がりました.
また日本消化器外科学会が創立されて50周年の年にあたり,記念式典が行われました.
さらに鹿児島大学旧第一外科が開講して75周年という記念すべき年に,日本消化器外科学会総会を鹿児島で開催できましたことに,心より感謝いたします.

  「春夏秋冬-心技の継承-」というテーマで,本学会を開催し,6,574名の参加がありました.2日目のウオーターフロントパークでの全員懇親会では,開始の30分前までは大雨で開催が危惧されましたが,開始と同時に雨が上がり,桜島が2回噴火して皆さんを温かく迎えてくれました.無事に成功裡に終了できましたことは同門,関連病院,教室,ラボをはじめとする皆様のご支援の賜であり,深謝いたします.

  8月23,24日に第51回日本胸部外科学会九州地方会も開催させていただきました.心臓血管外科や呼吸器外科が中心の学会でありますが,多くの演題を発表していただき,本学会も無事に終了することができました.

  また8月1日に喜島祐子先生が藤田医科大学の乳腺外科学教授に就任されました.
教室から学外の教授誕生は初めてであり,大変うれしく思いました.藤田医科大学で教授就任祝賀会が開催されましたが,理事長,病院長をはじめ,皆さんから高い評価を受けていました.
若い先生方も是非後を継ぐよう努力してほしいと思います.

  現在留学は,アメリカに2名(貴島 孝,下之薗将貴先生),国内留学1名(鶴田祐介先生)であります.ペンシルバニア大学の中川裕先生とのオルガノイドの共同研究は良い結果が得られてきて今後が楽しみです.
  海外からの留学生は2名であり,モハメド先生(パキスタン)が大学院の4年生,ネパール先生(ネパール)が大学院の2年生として研究に頑張っています.
  今年度は1名(野田昌弘先生)が学位を取得いたしました.大学院休学中の先生,論文完成後に手続きが遅れている先生は,一念発起して必ず学位取得を完了してください.



  さて近年,全国の医師総数は増加していますが,鹿児島県内で減少しているのが外科医数です.
平成12年の外科医総数は390名でしたが,漸減していき,平成28年では326名で64名の減少となっています.実際には外科医として登録されていても,現在は手術せずに総合診療医として地域医療に頑張っている先生も多くおられます.従いまして現役の外科医数はさらに少ないと想定されます.

  消化器癌の治療に関しては,早期癌に対する内視鏡切除の適応がさらに拡大していくと思われますが,これに伴って内視鏡切除後に脈管侵襲陽性例や深部断端陽性例も増加すると考えられます.
  進行癌に対しては化学療法,放射線療法,免疫療法がさらに進んでいくと思われますが,完治を証明する方法が困難な現況では,手術は重要な治療法に変わりはありません.
さらに非切除例で加療効果が奏効した症例の切除例(conversion surgery)が増加してくることが考えられます.いずれにせよ,外科医の役割はまだまだ減少することはないと思います.

  このような現状の中,鹿児島大学の4外科講座が協力して,学生・研修医教育,専門医育成,地域医療を行っていく必要があります.
  この度,鹿児島大学病院に地方外科医療を振興していくために,外科医療振興センターを設置しました.センターで活動する方策として,以下のことを考えています.



1.テレサージェリーの活用:遠隔地から手術を指導する遠隔手術支援と,ロボットにより遠隔操作で手術を行うrobotic surgeryの2つの要素を中心にした通信技術の外科応用をへき地・離島外科医療に導入する.

2.IT技術の導入:本院と地方病院間で,手術困難症例のカンファレンス,本院外科手術後のフォローアップ,informed consentあるいは薬剤投与など,IT技術による遠隔操作を用いて,地域医療機関と共同して診療を行う.

3.外科医不足への方策:外科医を増加させる手段の一つとして,外科4科で作成した鹿児島外科プロフェッショナルプログラムに基づき,各診療科を効率よくローテーションすることで,専門医資格の取得を容易にする.外科専門医に連動して,2階建て各専門領域(sub-specialty)の専門医資格取得を円滑にする.

4.地方外科医療の充実:外科医不足に直面しているへき地・離島を中心とした外科医療を外科4科で協力して補完できる体制を構築する.

5.鹿児島大学病院各診療科との協力:本センターが地域の総合的医療を進めるための橋渡しの役割を担う.

6.AIなどの活用:将来のAI活用を視野に地域の医療機関および地域医師と連携する.





  私たちは鹿児島県の外科医療を守っていく責務があります.そのためには熱い志(Mind)を持つことが大事です.
  一方,地域医療とともに基礎・臨床研究も遂行して,日本で,世界で,迫力ある存在(Major)にならなければなりません.そのために最大限の努力(Maximum)をしていきましょう.
  日々の診療,研究,教育のすべての分野で,丹精を込めて誠心誠意を尽くす万事入精の気持ちを忘れずに過ごすことが肝要です.本年も皆さんとともに全力で歩んでいきますので,ご協力をよろしくお願いいたします.

鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科 先進治療科学専攻 外科学講座 消化器外科学

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